来季の指揮官候補には原辰徳、松井秀喜、高橋由伸という現役時代の4番が挙げられている。巨人の監督は生え抜きエースか4番打者しかなれない――巨人監督人事のナゾを追う。【全2回の2回目】※肩書は全て当時

◆◆◆

 なぜ「巨人監督は生え抜きの4番かエース」という不文律が浸透したのか。まず、1980年代のエースである江川卓が監督になっていない点を上げたい。「昭和の怪物」は幾度となくマスコミで名前を挙げられてきた。

候補の常連「江川卓監督」説

〈長嶋巨人の戦犯「クビは8人!」で「江川ジャイアンツ進行中」〉(1998年8月15日号/週刊現代)

ADVERTISEMENT

〈原巨人では燃えない 大逆転!「やっぱり江川ジャイアンツ進行中」〉(2000年8月19・26日合併号/週刊現代)

〈巨人原監督V逸なら解任も 後任候補に江川氏らの名〉(2015年9月26日付/日刊スポーツ)

 何度も待望論が飛び出すも、フロントの間では「江川を監督にしよう」という気運はなかったようだ。読売上層部と密に連絡を取っていた若林広報室長は1988年、一部のメディアを賑わせた「江川監督就任」について、こう綴っている。

〈堀内、江川両氏については年齢的に若すぎるということで、これまた検討の材料にはならない〉(1992年2月発行『巨人軍の最高機密[第Ⅰ部]』リム出版)

 2011年11月には、清武英利代表が渡辺恒雄会長を告発する会見を開いた際、来季のヘッドコーチ人事に関する話を披露した。渡辺は、こう言ったとされる。

「巨人は弱いだけでなく、スターがいない。江川なら集客できる。彼は悪名高いが、悪名は無名に勝る。彼をヘッドコーチにすれば、『次は江川が監督だ』と江川もファンも期待するだろう。しかし、監督にはしないんだ」

江川は何と答えた? 「生え抜き絶対説」の発端

 監督人事権を掌握する渡辺の言葉を、清武が話したことで江川監督の実現は訪れないと思われた。それでもまだ、江川の名前は挙がった。2015年、シーズン終盤になっても続投要請のない原監督に代わり、来季の監督候補として日刊スポーツが1面で江川の名を報じる。クライマックスシリーズで敗れた原の去就が注目される頃、江川は群がる報道陣に対応した。

【次ページ】 幻の「星野仙一監督」説…OBの反発

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball