プロ8年目のサクセスストーリー。

 横浜DeNAベイスターズの勝又温史は、初のヒーローインタビューで「野球の神様が見ていてくれたのかな」と感慨深く語り、お立ち台から見上げた横浜スタジアムを青く染めたたくさんのファンを前に「夢のなかにいるみたいだ」と心を震わせた。

 以前、勝又がファームで奮闘していた時期、「僕はまだ一軍を語る資格がない」とシリアスな様子で語っていたが、7年目の昨季初めて一軍を経験してどんな場所だったのかを尋ねると「やっぱり夢の世界でしたね」と優しい表情を浮かべた。

夢の世界への“ラストイヤー”の決意

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 結果を残すか、クビになるか、正真正銘のラストイヤーと自分自身で位置付けた今季、勝又はインフルエンザによる代替選手として4月11日に一軍登録された。

 結果を出さなければ早期のファーム行きも考えられる立場だったが、コンスタントにゲームに出場し、25試合、打率.360、打点12、OPS.790、そして得点圏打率.450(5月17日現在)という勝負強さを見せ、勝又の苦闘の歴史を知るファンから絶大な支持を受けている。

 愛称は“かっちゃん”。打席に勝又が入ると「かっちゃん、頑張れ!」「かっちゃん、行け!」という声援が途切れることなく飛び交い、誰もが結果を出して欲しいと、その一挙手一投足に注目する。

 昇格から1カ月を越え、夢の世界である一軍での日々を勝又は真摯な表情で語った。

「本当に1日1日が濃いんです。長く感じることもあれば、あっという間だったという感覚もありますし、とにかく毎日必死で……」

 今日を打って、明日をつかむ——。

昇格初スタメンのゲームで……

 昇格翌日の4月12日の広島戦(横浜スタジアム)で8番・右翼で今季初出場、初スタメンを飾った。

「一軍昇格した際、チャンスは少ないと考えていました。本当今季、1回あるかないかの機会だと思い、真剣に大事にいきました」

 しかし1打席、2打席は凡打に終わり、正直じわりと焦りを感じていた。そして7回裏、3対4のビハインド、2死二塁で勝又は3打席目を迎えた。ハマスタに鳴り響くチャンステーマ。3球目、森浦大輔が投じた144kmのインサイドに食い込んでくる難しいシュートを、勝又は強振した。ふわりと舞い上がった打球は、左翼ライン際にポトリと落ち、殊勲の同点タイムリーとなった。

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