開幕前、セ・リーグの順位予想でほとんどの解説者が「最下位」に挙げた、東京ヤクルトスワローズ。しかし、蓋を開けてみれば、首位争いを演じるまさかの快進撃。5月に入ってからも24勝15敗、勝率.615で首位(記録はすべて5月13日現在)。NHK野球解説者の武田一浩氏も驚きを隠せない。【全3回のヤクルト編/中日編も公開中】

「ヤクルトの開幕オーダーに並んだ見慣れぬ名前を見て驚いた。村上(宗隆)はメジャー(ホワイトソックス)に行き、2021年、22年の連覇を支えた主力、塩見(泰隆)も山田(哲人)もいない。おまけに、長年正捕手としてチームを支えてきた中村(悠平)もいない。スタメンで馴染みのある名前なんて、サンタナとオスナの両外国人くらい。これ、一体誰が打つんだよ、どうやって勝つんだよって。誰もがそう思ったはずだよ」

 ところが蓋を開けてみれば、開幕ダッシュに成功し、4月の後半までチームは首位をキープした。この「サプライズ」の中心にいるのが、今季から指揮を執る、12球団最年長の新人監督・池山隆寛(60歳)だ。

「同級生として言わせてもらえば、イケは昔から騒がしく『チャラいやつ』でしたよ(笑)。でもね、今のヤクルトはその『チャラさ』が、いい方向に作用している。(高津臣吾監督時代に)連覇したあとは3年連続のBクラス。昨年は最下位に沈んだ。主力が開幕時ほとんどおらず、普通なら暗くなるところを、監督自らベンチの雰囲気を明るくして、選手との距離をグッと縮めている。兄貴分的なふるまいは、今の時代にあっている」

 池山監督は2020年からヤクルトの二軍監督を6年間務めてきた。その中で培った「選手把握力」が今を支えていると、武田氏は指摘する。

「現役時代の『ブンブン丸』のイメージが強いから、豪快な野球をやっていると思われがちだけど、今のイケがやっている野球はもっと別のところにある。二軍を長く見てきたから、今の若手から中堅までの性格も特徴も、よく分かっている。捕手の鈴木叶、センターの岩田幸宏、ショートの伊藤琉偉など、見慣れない名前がスタメンに並ぶけれど、池山監督からすれば『どう使えば一番力が出るか』を分かった上での起用。バントをさせなかったり、8番に投手を入れたり、3番に捕手を固定したり、セオリーから外れる型破りな野球に見えるけど、若い選手に窮屈な野球をさせないよう、持っている力をそのまま出させようとしているんじゃないかな」

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