ドアラも連日、必死に応援しているが(写真:産経新聞社)

 90周年の記念ロゴが、どこか空々しく見える。

 プロ野球セ・リーグの中日ドラゴンズは4月12日、バンテリンドームで阪神タイガースに0―3で敗れ、同一カード3連敗。試合前には日本ハムから杉浦稔大を金銭トレードで獲得したと発表し、9回には根尾昂が11球で3者凡退、4試合連続無失点という好材料もあった。

 だが、敗戦の底に沈んだ本拠地の空気は変わらない。12日終了時点で14試合3勝11敗、勝率2割1分4厘。セ・リーグ最下位、12球団でも最低勝率である。

打線強化のための施策が相手チームにより効いてしまう結果に

 打線強化の起爆剤として導入した「ホームランウイング」は、いまのところ祝祭の装置ではなく、構想の誤差を拡大して映し出すレンズになっている。球団創設90周年のキャッチコピー「Blue Together 背中はまかせた、さあ、行こう!」が掲げる前進の意思とは裏腹に、実際のチームは足元のぬかるみにはまり、前へ出ようとするほど沈み込んでいる。

 突きつけられているのは、単なる不振ではない。何を変え、何を変え損ねたのかという、組織そのものへの問いである。

 象徴は、今季から本拠地バンテリンドームに新設された「ホームランウイング」である。右中間、左中間は116メートルから110メートルに縮まり、フェンス高も4.8メートルから3.6メートルへ下がった。

バンテリンドーム、ライト側のホームランウイング(写真:産経新聞社)

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 長年「ホームランが出にくい」と言われてきた本拠地の性格を改め、慢性的な得点力不足に風穴を開ける。その狙い自体は理解できる。オープン戦で中日は本塁打数、得点ともに12球団トップ。3月24日の激励会で大島宇一郎オーナーが「努力の成果が出ている」と語ったのも、そうした手応えがあったからだろう。

 90周年の節目に、球場から流れを変える。企図としては派手で、いかにも希望を語りやすい施策だった。

 しかも、その流れに乗せられるかのように開幕前の時点では名だたる評論家や球界関係者、有識者の間から「今年の中日は違う」などといった指摘が数多く飛び交い、ドラゴンズをセ・リーグ優勝の最有力候補と目される阪神の対抗馬に挙げる声まで出ていた。

 だが、野球の構造は冷たい。球場を狭くすれば、本塁打が出やすくなるのは中日だけではない。対戦相手にも同じ追い風が吹く。この当然の前提を、どこまで現実の編成に落とし込めていたのか。

 4月12日までのバンテリンドーム6試合を積み上げると、中日の本塁打は5本、相手球団は6本である。数字だけ見れば決定的な差ではない。だが、11日の阪神戦では阪神が4本塁打、中日は2本塁打。そのうち阪神の3発が新設エリアに飛び込んだ。

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