直球が140キロ台前半で先発ローテに黄信号 「巨人の大黒柱」は復活できるか

直球が140キロ台前半で先発ローテに黄信号 「巨人の大黒柱」は復活できるか

生命線は空振りを奪える直球

昨年の不振からの復活を目指す戸郷。巨人のV奪回にはそれが必須条件だが……[写真=湯浅芳昭]

 完全復活へ、まだ道半ばだ。巨人の戸郷翔征が3月11日のソフトバンクとのオープン戦(みずほPayPay)に登板したが3回5安打3失点。先発ローテーション入りに課題を残した。

 2対10と大量点差をつけられた4回からマウンドへ。火のついたソフトバンク打線に対し、2イニング連続無失点に抑えたが、6回につかまった。直球が140キロ台前半に落ち、3連打を含む5本の集中打で3失点。マウンドを降りる際に表情をしかめた。

 戸郷の生命線は空振りを奪える直球だ。2022、24年と最多奪三振のタイトルを2度獲得しているが、直球が走ってこそスライダーやフォークが生きてくる。24年12月に週刊ベースボールのインタビューで三振へのこだわりを口にしている。

「三振を取れるピッチャーというのは“強い”と思いますね。ゲームを支配する中で、三振が多くなれば打球が前に転がる回数も少なくなって、失点のリスクというものも減っていく。もちろん三振を奪うには球数が必要になります。球数が少ないに越したことはないんですけど、それでも三振が多くなるのであれば、僕はそれでいいと思っています。時と場合、場面にもよりますけど、やっぱりピンチの場面で三振を取ることができたほうが、リスクは格段に低くなっていく。そうしたことを考えても、三振が取れるというのは有利になっていきますね」

先発の座が保証されない立場
 順調にステップアップしていたが、昨年に大きな壁にぶつかった。春先から状態がなかなか上がらず、2度のファーム再調整を経験。21試合登板で8勝9敗、防御率4.14に終わった。111回で規定投球回に到達できず87奪三振で、入団2年目以来続いていたシーズン100奪三振が5年連続で途切れた。

 今年は一転して先発の座が保証されない立場に。本人も危機感を感じている。2月下旬の春季キャンプ中にリリースポイントを下げたフォームに変更。実戦登板を飛ばしてフォーム固めを行ってきた。初実戦となった2月28日の練習試合・韓国サムスン戦(那覇)は1回無失点に抑えたが、2度目の登板となったソフトバンク戦は苦しい投球内容になった。

 高卒2年目から先発ローテーションで稼働してきた右腕に、ファンは特別な思いを抱く。先発の大黒柱として山崎伊織とともにチームを引っ張ってもらわなければ困る存在だ。巨人のエースとして長年活躍した菅野智之(現ロッキーズ)はエースナンバーである背番号18の継承者について、「戸郷が受け継がなければいけない宿命にある」と語っていた。

レジェンドOBの檄
 戸郷はエースについて、「やっぱりチームが苦しいときに勝ち切れるピッチャーだと思いますし、本当に“ジャイアンツのエース”というのは、どんなときでも、どんな相手であっても、勝つことで初めて称賛されるものだと思います。もちろん成績が出ないことには、周りからいろいろなことを言われてしまうので、難しい立場ではあると思いますけど、それでもやってみたいところだなという思いがあります」と自覚を口にしていた。

 球団OBの堀内恒夫氏は「今季の巨人も先発投手に大きな課題が残されている。外国人ばかりが目立っているようでは心もとない。いまの巨人投手陣には一昨年までの戸郷翔征のような大黒柱と、MLBへ新天地を求めた菅野智之のような制球力とテクニックを兼ね備えた投手が必要である。そのために投手陣へは『歯を食いしばって投げ込め!』『グラウンドで汗を流せ!』と檄を飛ばしたい。ケガをしないでキャンプを終えたことで、喜んでいる場合ではない。ヘトヘトになるまで、特守や特打を繰り返しながら、ケガをせずに生き残った者だけが主役の座をつかむ。そうでなければキャンプをやっている意味がない。いま、巨人は根本的に育成方法を見直さなければ、V奪回は絵に描いた餅で終わってしまうだろう」と叱咤激励している。

 戸郷の活躍なくして頂点に立てない。うなりを上げて捕手のミットに吸い込まれる球威十分の直球を取り戻すことができるか。

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