海外挑戦4年目となった2025年シーズンは、乙坂智にとって決して忘れられない激動の日々になった。
夢の入口に足を踏み入れ震えたこともあれば、一方で失意も味わった。そして太平洋を渡り、久しぶりに日本のスタジアムでプレーをし、懐かしい歓声にも包まれた。
昨年を振り返りながら、乙坂は、ゆっくりと、嚙みしめるように言った。
ADVERTISEMENT
「自分の幅が広がったというか、今まで味わったことのない感情がたくさん出てきた1年でした。喜びも痛みも知って、本当にいい経験ができましたね」
32歳。“顔は男の履歴書”というが、その表情からは、横浜DeNAベイスターズ時代には見られなかった人生の深みのようなものが滲み出ていた。
米独立リーグの古巣でシーズンイン
一昨年の2024年シーズンはメキシコリーグでプレーしたが、昨季は米独立リーグのアトランティックリーグ(ATLL)に所属するヨーク・レボリューションでスタートを切った。2023年にも在籍した勝手知ったるチームであり、2年ぶりにここでMLBを目指すことになった。
「正直、金銭的にはメキシコの方が圧倒的にいいんですけど、自問自答したときに、自分が求めているのは何なんだろうって思ったんです。やっぱり、やりたい場所で、やりたいことをしなければいけない。MLBのスカウトの方も頻繁に足を運んでいるリーグですし、やはりここでプレーする方が自分の想いが伝わるのかなって」
ATLLは、数ある米独立リーグのなかで最もレベルが高く、またMLBが支援するパートナーリーグということもあり、MLB各球団のマイナーリーグに所属していない選手たちからすれば、メジャーへのチャンスを掴むことのできる最前線である。
打率4割のスタートダッシュ
ここで乙坂は目覚ましいスタートダッシュを見せることになる。9試合に出場し、11打席連続出塁を果たすなど、打率.405、1本塁打、8打点、4盗塁という成績を残した。
この結果が次なる扉を開くわけだが、生まれ変わったような打撃好調ぶりの要因は一体何だったのだろうか。

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball