
阪神新人合同自主トレで訓示する藤川監督(左端)/(C)共同通信社
「これはしかし、8月(優勝)あるで」
新年早々、大阪・読売テレビ「あすリート」の番組内でこう断言したのは、阪神の岡田彰布オーナー付顧問(68)だ。
早大の後輩で、監督、選手として師弟関係にあるOBの鳥谷敬氏と対談した同顧問は、今季、リーグ連覇を目指す阪神について、「今までで一番簡単かもわからんな。レベルが違うわ。他のチームがもう、あんま無理せえへんやんか。クライマックス狙いやんか。あまりにも戦力が違いすぎるもん」としたうえで、「(優勝決定は)8月29日、30日とかあるよ」と言って、白い歯を見せた。
実際、今季の阪神の戦力がライバル5球団を圧倒しているのは、火を見るより明らか。国内FA権を取得した近本が5年総額25億円規模の大型契約で残留。ドラフトでは、アマナンバーワン野手の立石(創価大)を3球団1位競合の末に獲得した。投打の戦力は充実の一途だ。
一方、阪神を追うライバル5球団を見渡しても、昨季3位の巨人は岡本、6位のヤクルトは村上と、主砲がポスティングでメジャー移籍。その穴埋めが急務となっている。
昨季2位のDeNAは阪神から先発右腕のデュプランティエを強奪したものの、先発ローテ投手だったケイ、ジャクソンに加え、主砲のオースティンが退団。4位中日はメジャー通算164発のサノーを獲得したが、活躍できるかは未知数だ。5位広島も目立った補強はない。いよいよ「1強5弱」が加速しつつある。
コーチ経験のある球団OBがこう言う。
「今季の阪神は連覇して当たり前という風潮がある中、発言力のある岡田顧問が史上最速(9月7日)でリーグ優勝を果たした昨季以上に強いと断言した。本当に8月に優勝するかはともかく、阪神の圧倒的有利を念押ししたことは、藤川球児監督にとってプレッシャーでしょう。ましてや藤川監督は就任以来、チームの情報漏洩を防ぐ意味合いもあり、OBとは距離を置いている。これを快く思っていないOBは少なくない。これで開幕から波に乗れないとなれば、岡田顧問はもちろん、OBから集中砲火を浴びるのは必至です」
昨季、攻撃面でチームを牽引した佐藤輝明(26)にも不安がないわけではない。126試合で4番を務め、40本塁打.102打点でリーグの2冠を獲得。MVPに輝いた。
「文句のつけようがない働きでしたが、他球団バッテリーの攻め方には疑問が残りました」とは、評論家の橋本清氏だ。
昨季の佐藤輝は出場139試合、597打席に立って死球ゼロ。一度も死球を受けることなく本塁打王を獲得したのは、1950年の2リーグ制以降のセ・リーグでは史上3人目、79年の掛布雅之以来となる実に46年ぶりのことだった。
WBCへの大量選出
「投手の立場からすれば内角球は、制球がちょっと甘くなれば長打につながるリスクがあるのは確かです。しかし、強打者を相手に外角一辺倒の配球では抑えきれないのもまた事実。昨季の佐藤輝のコース別本塁打のデータを見ると、内角のストライクゾーンを7本塁打している一方、内角高めの打率は2割を切っています。苦手な内角高めを攻めるのはセオリーのはずですが、死球ゼロという事実が示すように、相手バッテリーはそこを攻めきれなかった。2冠王という特筆すべき成績を残した佐藤輝に対し、セの5球団は同じ過ちを犯すわけにはいきません。すでにデータの洗い出しは終わっているはずで、今季は厳しい内角攻めをしてくる可能性が高い。佐藤輝がそれをどうはね返すか、あるいは打撃を崩してしまうか。死球によるケガのリスクも増えるかもしれません」(橋本氏)
そういえば、岡田顧問も連載中の週刊ベースボールのコラムで佐藤輝の「死球ゼロ」に触れ、<他球団の対策に「?」って感じやった><佐藤輝のウイークポイントとされるのは内角への攻めである。その内角攻めをまったくしてこないのだ>と書いていた。
今季、真価を問われるシーズンになりそうだ。
その佐藤輝を巡っては、こんな声も……。
「かねて球団にポスティングによるメジャー挑戦を直訴しているものの、なかなか確約が得られないようです。このオフ、移籍を容認されなかった才木しかり、夢を追いかけられないモヤモヤを抱えながら、プレーすることになりそうです」(在京球団編成担当)
今年3月のWBCの影響を懸念する向きもある。
「救援右腕の石井の侍ジャパン入りが発表されましたが、阪神からは他にも多数のメンバー入りが予想されている。投手では才木と村上、野手では中野、森下、坂本に加え、佐藤輝も当落線上にいる。侍ジャパンが仮に日本時間3月18日の決勝に進めば、同27日に開幕する公式戦への影響は避けられない。WBCでは使用球やピッチクロックの適用など、普段とは違う環境でプレーする。帰国後に日本仕様に戻す時間は不可欠ですから。しかも、阪神は国際大会のトラウマがある。2008年北京五輪に藤川、矢野、新井の主力3人が出場。中でも新井は大会期間中に腰の故障が悪化し、長期離脱を強いられた。結果、チームは最大13ゲーム差をつけていた巨人にひっくり返され、V逸しました」とは、放送関係者。
前評判では圧倒的有利な阪神とはいえ、付け入る隙はあるかもしれない。
◇ ◇ ◇
ところで藤川監督といえば、球団内での評価は芳しくないようだ。野球観や意見が合わないコーチを排除したがる傾向があるそうで、昨シーズン中にはその独裁的な振る舞いから、チーム内に波紋を広げる「事件」を起こしたという。いったい何があったのか。
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