2025年12月21日11時0分


















阪神対巨人 ファーストピッチセレモニーに臨む江夏氏(手前)と掛布氏(25年4月撮影)


阪神対巨人 ファーストピッチセレモニーに臨む江夏氏(手前)と掛布氏(25年4月撮影)


<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>


「レジェンド」と呼ばれる顔ぶれにとっても、2025年4月25日は忘れられない日になった。甲子園に田淵幸一さん(79)、江夏豊さん(77)、掛布雅之さん(70)がやってきた。

今年は阪神タイガース創設90周年で、球団史を振り返るイベントが開催された。歴代OBが登場する中、掛布OB会長は江夏さんの出番のなさが気になっていた。体調への球団の配慮は理解しても、なんとか来てもらいたかった。甲子園の放送席に座るとき、江夏さんは必ずキリリとネクタイを締めた。この球場への江夏さんの愛情を形にできる場を設けようとした。3、4代目のミスター・タイガースが登場する4月25日が「一番いいんじゃないですか」と田淵さんに相談。3代目の賛同を得て連絡すると、江夏さんは「行く!」と二つ返事だった。

当日、江夏さんが座った車椅子をグラウンドに上げ、マウンドへ。「甲子園、どうですか?」と問いかけた掛布さんに「ええなあ。もう2度とこのマウンドに立つことはないんやろな…」と江夏さんはつぶやいた。ふと触れた肩の感触に、掛布さんは驚いた。筋肉が盛り上がっていた肩はすっかり薄くなっていた。涙をこらえ「ぼくは打席で構えます。田淵さんもミットを構えますので、車椅子に乗ったまま投げる格好で構いませんので、してください。ぼく、バットを振りますので」と声をかけた。だが、江夏さんは立ち上がった。その瞬間、田淵さんがもらしたおえつを掛布さんは背中越しに聞いた。

セレモニー後、黄金バッテリーは掛布さんに感謝。「この3人がそろうことはもう2度とないだろうな」「うん、いい記念だった」と忘れられない瞬間を3人でかみしめた。

20日、大阪市内で開催されたトークショーで、掛布さんはその逸話を披露。話し相手のタレント松村邦洋は「いいことをされましたね」とうなずいた。来場者も思いを共有していた。

何も「最後」とは限らない。3人が再び甲子園で顔を合わせ「また会えたな」と笑い合う姿を見せてほしい。【堀まどか】






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