2025年ドラフト会議でオリックスから2位指名を受けた森陽樹、無念の指名漏れとなった中野大虎。じつは大学進学を勧めていた森の両親、「焦っていた時期もあった」と吐露する西谷監督、そして指名漏れ3日後に新チームの応援に訪れていた中野まで……ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。【全2回の2回目】

 センバツ切符の懸かった2023年秋の近畿大会で、当時1年生だった森陽樹は兵庫・報徳学園戦で好リリーフをみせてブレイクを果たした。その頃、西谷浩一監督は190cmを超えるこの大器に対して、「大きく大きく育てたい」と話していた。

「大きく育てたい」はのちにプロに行くような選手に対して西谷監督がよく使う言葉だが、森に関しては無意識のうちに「大きく」を二度繰り返すほど期待を寄せる西谷監督がいた。

 あれから2年という月日が流れ、森はオリックスから2位指名を受けた。

森の育成に「焦った時期も」…西谷監督の吐露

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「1学年20人の選手を毎年お預かりするんですけども、預かった時点でプロ野球選手まで導かないといけない子だなとずっと思って来ました。田舎から出て来たばかりの頃は、幼いところも、甘いところもありました。ただ、優れた能力を持っていましたので、早くそれに気付いて、もっともっと成長速度を上げたいと思って私のなかで焦っていた時期もあります。思い通りにいかないときもあったし、反対にこんなこともできるようになったかと驚くこともありました。叱ってばかりでしたが、こちらとしては(森に)寄り添いながら、しっかり鍛えてきたつもりです」

 指名された直後の会見で西谷監督は「森の持つ力のうち半分も出させてやれなかった」とも発言した。

「身体の力がついていない段階で、あれだけのボールが投げられるのだから、もっともっと身体を鍛えて、制球力なども磨いていければ、可能性が広がっていくと思います。私ができなかったこともいっぱいありますので、そこはプロのコーチに引き継いでいただきたい」

 衝撃のデビューを飾った2年前、2年後のドラフト1位が確実視された森も、2024年春のセンバツでは神村学園(鹿児島)戦で4回1失点、夏の甲子園では2回戦の小松大谷(石川)戦に先発して7回2失点。残った数字だけを今見ればそれなりのピッチングを想起するものの、報徳学園戦を目撃した者からすればどうしても物足りない、インパクトに欠く内容に見えた。

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