23年6月、阪神戦で左越え2ランを放つ大下
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 2017年以来8年ぶりに最下位に沈んだロッテは吉井理人監督が辞任し、金子誠、大家友和、大塚明コーチが退団。選手も国吉佑樹投手、二木康太投手、大下誠一郎内野手ら13人に来季の契約を結ばないことを通告(育成再契約の打診も含む)。また、荻野貴司外野手、石川歩投手、沢村拓一投手のベテラン3選手もチームを離れる選択をした。

 先日、ナインに別れのあいさつをするためにZOZOマリンを訪れた大下と少しだけ話をした。現役続行希望と聞いていたので「続けるんでしょ?」と尋ねると、「分かんないです。獲ってくれるチームがあるか…」。明るい性格でナインを盛り上げるムードメーカーだった男の弱気なセリフに戸惑い、「まあ、野球を終えてからの人生の方が長いから」と慰めにもならないような言葉しか返せなかった自分を恥じたが、笑顔で握手を交わしてくれた大下に感謝している。

 現役ドラフトでオリックスからロッテに移籍。“声出し番長”として、おとなしい選手が多いチームの雰囲気をガラリと変えた。登場曲は嶋大輔の「男の勲章」。この曲が流れると球場のムードも一気に高まった。

 1年目の23年は23試合出場で打率・227、1本塁打。2年目はチーム事情もあり、捕手に挑戦したが、第3捕手という立場が逆に出場機会を減らすことになった。そして、内野手一本で勝負した今季は1軍出場なく終わった。

 記者となれ合うようなタイプではなく、じっくり取材する機会もほとんどなかったが、石垣島での春季キャンプで最後まで室内練習場に残り、誰よりもバットを振っていたことはロッテ担当の記者なら、みんな知っている。どれだけ頑張っていても結果を出せなければ、生き残れない。改めてプロの世界の厳しさを思い知らされた。

 印象に残っているのは23年6月3日の阪神戦(甲子園)。セ・パの首位対決で4時間19分の激闘となった。大下は0―3の7回に代打で登場し、反撃の口火となる左越え2ランを放った。白鴎大の先輩で目標としている阪神・大山との“競演”で移籍後初、自身2年ぶりの一発だった。

 試合は5―5の同点のまま延長戦に突入。引き分けに終わった場合、大下を紙面で扱うことになり、試合の行方を見守りながら長めの原稿を書き進めていたが、延長11回サヨナラ負け。短い原稿しか載らなかったことが残念だ。良い縁に恵まれ、野球を続けられることを願っている。

 別れがあれば、出会いもある。新たにプロ野球の世界に飛び込む選手たちが決まるドラフト会議は、23日に行われる。(記者コラム・大内 辰祐)

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