24年12月、USJを訪れた阪神の(左から)中川、森木、前川
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 同学年の3人は、大阪市内のもつ鍋店でテーブルを囲んでいた。今月3日。その2日前に球団から戦力外通告を受けていた阪神の21年ドラフト1位の森木を、同4位の前川と同7位の中川が声をかけて食事に誘った。

 「プロに入ってから(森木)大智とたくさんの時間を一緒に過ごした。通告を受けてから“部屋で一人になるといろんなことを考えてしまう”とボソッと言っていたので、声をかけました」

 そう話したのは前川だ。看板メニューの酢もつや牛のたたきに始まり、たっぷりニンニクの入ったもつ鍋に舌鼓を打った。午後7時に始まった宴はあっという間に2時間が過ぎ、野球からプライベートの話に花が咲いた。「大智が意外と前向きだった。それが良かったです」。メンタル面の心配が杞憂(きゆう)に終わったことで、2人は安堵(あんど)したという。

 「いろんなところに遊びにも行きましたね。僕がイジって大智がボケて、(中川)勇斗とツッコミを入れる。そんな関係性です」

 同じ高卒入団の3人の思い出は尽きない。22年1月に2軍「虎風荘」に入寮してからすぐに意気投合。3人だけのLINEグループをつくり、休日はよく一緒に出かけた。温泉施設巡りにハマっていた2人が森木を誘い、日帰りで有馬温泉に行ったこともあった。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)で買ったぬいぐるみは、今も全員が大切に保管している。前川は最後に言葉を紡いだ。

 「仲のいい選手が球団を去っていくのはつらいですけど、それもプロ野球の世界。僕の中で大智は高校時代からスーパースターだった。1軍で大智が投げて僕が打つことはかなわなかったけど、お互い切磋琢磨(せっさたくま)して、同じ舞台で戦えるように」

 チームメートでなくなった今、近い将来の目標は、ともに成長して、敵として対戦すること。若武者は新たな決意を胸に、秋の戦いに挑む。(石崎 祥平)

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