2025年、“プロ野球史上最速”の9月7日にセ・リーグ優勝を決めた阪神タイガース。2位以下に10ゲーム以上の大差をつけた一方で、気になるのがクライマックスシリーズ(CS)との向き合い方だ。「下剋上」が起こり得る短期決戦を前に、岡田彰布前監督が語った本音とは。「これでええと思うか?」――優勝チームゆえの“不利益”やCS制度そのものの是非について、率直な見解を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)
17年前、タイガースのフィナーレはドラマチックだった。晩秋の2008年10月20日、京セラドームでのことだった。そのシーズン、阪神は独走から巨人の逆襲にあい、歴史的V逸となった。すでに時の監督、岡田彰布の退陣は決まっていた。
傷心のクライマックスシリーズ。ファーストステージで落合博満監督の中日と激突し、1勝1敗で決着の3戦目。0対0で迎えた9回表、岡田はマウンドに藤川球児を送った。自信の継投のはずが、「まさか」のことが起きた。藤川が打たれたのだ。中日の4番、タイロン・ウッズに本塁打を浴びた。
これで負けた。「あの時、球児が変化球を投げていたら、抑えたやろな」。後年、岡田はあの1球を悔いていた。
敗退が決まったあとのセレモニー。選手が列を作り、去っていく岡田を送り出した。その列の最後尾に、藤川球児が立っていた。涙が止まらなかった。岡田が目の前にきた。岡田も顔をグチャグチャにして、声を絞り出した。「お前で最後、終われてよかった」。
あれから17年、今年のCSは藤川が監督として戻ってきた。レギュラーシーズンはぶっちぎりで優勝。一時はセ・リーグの貯金を阪神が独占していたほどの圧勝だった。藤川にとっては17年前のリベンジの舞台になるが、「CSはこれでいいのか?」と制度の在り方に首を傾げるのが、他ならぬ岡田彰布である。昨季かぎりで勇退し、現在は阪神タイガースオーナー付顧問という肩書ながら、球界のOB、そして監督経験者としてのストレートな物言いが注目されている。
一時は2位以下が勝率5割に届かぬ異常事態に陥るところだった。そんな危機は回避されたが、1位と2位の差が10ゲーム以上あるにもかかわらず現行のシステムでCSを実施する違和感。それを岡田は隠さない。

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