
FA宣言の末に残留した主砲は、今季新たな役目を担うことになった。プロ入りから早い段階で4番を務めていたからこそわかる、中軸の重責。育まれた包容力で今度は弟たちを助ける――。(原題:[長男としての責務]大山悠輔「僕が2人を支えたい」)
大山悠輔はあの時、おそらく意図的に語気を強めた。
「その話題は書かないでほしいです。記事になったら、またテルがいろいろ言われてしまうかもしれないので」
ここは明確に意思表示をしなければ真意を理解してもらえないと、焦りにも似た感情が芽生えたのかもしれない。
交流戦も中盤に差し掛かっていた6月中旬の甲子園。試合前練習の終盤、クラブハウスに続く通路で声をかけた。
今季は特に難しいバウンドの送球を巧みにさばいているけれど、一塁守備の秘訣を教えてくれないだろうか――。
耳触りのいいテーマをぶつけたはずなのに、主砲は瞬時に血相を変えた。
「それって結局、『テルの送球が良くないよね』みたいに話が変わっていきませんか? テルは今、ただでさえ外野を守って大変な時期なのに、雑音を増やしてしまうのは嫌なんです」
普段は寡黙で穏やかな語り口を崩さない男が、珍しくまくし立てたから驚いた。
愛称テルこと佐藤輝明はここ数年、批判の矢面に立たされ続けていた。三塁からの送球に課題を残し、昨季はセ・パ両リーグワーストの23失策。事あるごとにメディアや有識者から厳しい指摘を浴びせられる姿を、4歳上の先輩は見過ごせずにいた。
「阪神ではどうしても失敗をクローズアップされてしまう機会が多くなる。それは僕自身も分かっているつもりなので」
大山は長らく「阪神4番」の重責と格闘してきた。超人気球団を背負う苦悩に人一倍敏感な男でもある。だからこそ余計に、今季から4番の座を継承したスタープレーヤーを放っておけないのだろう。
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photograph by Nanae Suzuki

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