2025年9月25日11時0分


















広島辻大雅


広島辻大雅


<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>


1軍初昇格から1軍同行を続ける辻大雅投手(21)は遠征先でも心強い味方がいる。遠征時に背負うリュックには「30」と入った赤いバッジが付いている。

自身のものではない。今夏、育成選手から支配下選手登録されたばかりで、背番号は98。バッジをよく見ると「ICHIOKA」の文字が描かれている。

「何かでもらって、自分が自分のバッジを着けるのもおかしいので、大雅にあげたんですよ」

現在アナリストとして辻を支える立場にいる一岡は当時を思い出しながら、笑顔を見せる。引退してすぐ、特別な思いを持たずにプレゼントしたものだった。

ただ、辻は特別ものとして受け取った。プロ1年目。育成選手として入団し、まだ右も左も分からない頃、優しく声をかけてくれた一岡の笑顔が忘れられない。

「辻って、名前なんて言うの?」

「大雅です」

「タイガ? 俺の息子と一緒だ」

その会話から一岡が名前の「大雅」と呼び、チーム内でも「大雅」とばれるようになったことで溶け込みやすい環境ができた。

「一岡さんは最初から話しやすい先輩でしたし、すごく接しやすい方。あのバッジは一生ものだと思いました」

右も左も分からない1軍の遠征時にも一岡バッジが見守ってくれている。今では御守り代わりだ。初昇格から14試合登板で防御率1・29の好成績を支えてくれているかもしれない。アナリストとして辻の急成長ぶりを予感していた一岡はまだ認めない。「まだまだできると思う。長いイニングを投げることもできると思うし、まだまだ」。そう語るまなざしはまるで、巣立った子を見守る父のようだった。【広島担当 前原淳】






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