
<神・広>胴上げされる藤川監督(中)(撮影・椎名 航)
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大山は泣いていたのか泣いていなかったのか。9月7日午後10時すぎ。締め切り時間が目前に迫る中、「大山涙のV」を原稿のテーマにするかどうかで悩んだ。
取材者からは「報道陣の前に来た時は目が赤かった」との報告。音源を聞いても、確かに涙声のように感じる。昨オフにFA宣言をし、5年契約を結んで臨んだ1年。涙を流したのなら、今季の意気込みがわかる。優勝紙面にふさわしい事象だ。しかし、選手をレンズで追い続けるカメラマンからは「泣いているようには見えなかった」との連絡。確証を得られないため、扱わないように決めた。
その2日後、球団の粟井一夫社長に歓喜の1日の様子を尋ねた。
「前回に比べて涙を流している選手が減ったと感じた。今回、目に見えて泣いているとわかったのは大山ぐらい。残留を決め、強い思いでこの1年に臨んでいたことが伝わった。だからと言って、泣いていない人の思いが軽いわけではないけど。2年前は、スタッフを含めて本当に多くの人が泣いていた」
大山はやはり泣いていた。熱い男なのだと改めて思うと同時に、18年ぶりだった前回と2年ぶりだった今回の違いが、涙の数になって表れたと知った。
優勝決定日の変化は他にもある。粟井社長によれば、フロント勢は「グラウンドに出ない」と決めていたそうだ。前監督の岡田彰布オーナー付顧問を含めた背広組はベンチ内にとどまり、スタンドからは見えにくい位置で、胴上げを終えた選手や首脳陣を出迎えた。23年は自然発生的に一塁側ファウルゾーンに列をつくって出迎えた。スーツ姿のよくわからない人たちが整列する様子は、ファンに違和感を与えたのではないか。その反省から、一線を引いた。
胴上げ中、センター方向を向いてカメラ目線を送る選手は今回もいなかった。宙を舞う監督に全員が視線を送る美しい胴上げだった。変化したもの、変わらないもの。いずれにせよ、3年で2度の優勝によって、フィナーレにも洗練された感じが出てきた。
ただし、困ったことも。ビールかけの本数だ。約4000本を用意した前回、選手から「寒かった」という声が挙がった。今回は約3500本に減らして時間短縮を図った。場所も屋外から屋内に変更した。しかし…。一部の選手に聞けば「やっぱり寒かった。でもビールの本数はもっとあってもいい」。1度に両立させるのは難しい問題。毎年優勝して、喜びの回数を増やすことが解決法なのかもしれない。(阪神担当・倉世古 洋平)
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