
【舞台裏】西武「真夏合宿」の必要性 命にかかわる時代に問われる練習環境/後編
西武3軍が8月1~12日、北海道美唄市で夏季キャンプを行いました。夏場に冷涼な北海道でキャンプを行うのは、NPB球団としては初の試み。なぜ北海道で、なぜ美唄で、なぜ3軍がキャンプを行ったのでしょうか。現場では〝夏合宿〟とも呼ばれたトライの舞台裏を追いかけました。
前後編でお届けします。
プロ野球2025.09.06 06:00

青空の下で行われた西武3軍美唄夏合宿(撮影・金子真仁)
「やって良かった」と一番思えたこと
なぜ夏に〝合宿〟を―。
プロ野球では言わずと知れた、2つのキャンプがずっと行われてきた。
沖縄や宮崎など温暖な地で2月に行われ、来たるべきシーズン開幕に備える春季キャンプ。
シーズンを終え、来季に向けて主に若手選手の鍛錬にあてる秋季キャンプは、本拠地で行われたり地方で行われたり。
いずれも予算がかかる。特に春。選手やスタッフ、道具が〝往復移動〟し、長期間滞在する。その額は1度のキャンプにつき億単位に上るとされる。
22人の選手たちと数十人のスタッフが海を渡って、12日間、北海道に滞在する。当然、春規模とまではいかずとも「予算」が発生する。

朝練で捕球練習を行う沢田遥斗外野手(左)とオケム外野手(右)
予算、そして費用対効果―。西武の広池浩司球団本部長(51)に話を聞いたのは、合宿終了の数日後。「検証はこれからです」としながら「(予算に)見合うような効果はあったと思います。選手たちの表情とか振り返りも見てるんですけど、いい練習ができたと報告は入ってきてます」とまずは総括を口にした。
広池本部長は日程半ばの8月7日に美唄を訪れたという。奥村剛球団社長(58)も1軍の西口文也監督(52)も訪れている。
広池本部長に尋ねた。合宿視察の中で「やって良かったな」と一番思えたシーンはどこですか?
「やっぱり、ガスランですね」
ガスラン。例えば往復100メートルを定められた20秒以内に走り、20秒休憩し、再び走る。これを何本も。
「投手が走り込んで、そのあと一呼吸おいてすぐにピッチングができる。午前中にはしっかりウエートトレもしている。まさにキャンプですよね。春とか秋にやるようなメニューを真夏にできる。魅力的です」

美唄夏合宿で「合宿メシ」を楽しむ西武の選手たち(写真は球団提供)
それを真夏にやらねばならない理由は一体。この答えに「夏合宿」の必要性が詰まっていた。
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1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。

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