2016年、ドラフト1位で阪神に入団し、現在はイースタン・リーグのオイシックス新潟でプレーする高山俊(32歳)。“天才打者”が今明かす、阪神8年間の真実と今。《NumberWeb阪神タイガース特集インタビュー全2回/前編から続く》
◆◆◆
「重症やな」
2023年、15年ぶりに阪神タイガースの指揮官に復帰した岡田彰布監督は打撃不振に苦しむかつての新人王・高山俊に目をかけていた。技術どうこうではなく、思い詰めている様子を見ての一言だった。一軍キャンプに招集して直接指導。しかし、高山はオープン戦でチャンスを掴めなかった。結局バッティングに輝きは戻らず、この年「背番号9」が一軍のグラウンドに立つことは一度もなかった。
ADVERTISEMENT
シーズン佳境の10月3日の昼下がり。奇しくもチームがクライマックスシリーズに向けて調整を続けている最中、高山の携帯電話が鳴った。見知らぬ番号ではなかったためすぐに状況を察することができた。
「電話では話せないから、明日尼崎のホテルに来てくれ。そんな感じだったと思います」
このとき高山は昼食を取るためにラーメン屋にいた。とんこつラーメンを待ちながら電話の意味を考えた。
「戦力外だろうな、報道が出る前に両親やお世話になった人たちには自分で伝えないといけないな、スーツも全部クリーニングに出しちゃったな、とかそんなことを考えていました。でも、まだラーメンが来ないなあ……みたいな(笑)」
阪神ドラ1が受けた“戦力外通告”
かつてのドラフト1位、2016年の新人王に宣告された戦力外通告はメディアでも大きく報じられた。ただ、当の本人は至って冷静に受け止めていた。
「頭が真っ白みたいなことにはならなかったですね。受け入れるしかない、そんな気持ちでした」
覚悟をしていた、とも違う。毎日必死にもがいた末の結果だからこそ、残酷な通達をすぐに飲み込んだ。

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball