バンテリンドームに絶え間なく響き渡る拍手。それはまるで優しい雨のようだった。

 8月16日の中日ドラゴンズVS.横浜DeNAベイスターズ。9回表、代打のダヤン・ビシエドの名前がコールされると、2016年から9シーズン過ごした古巣で大きな歓声が湧いた。そこには、かつて首位打者や最多安打、ベストナインを受賞し、チームのために長年尽力してくれた主軸に対する中日ファンの敬愛とリスペクトが込められていた。

 打席はセンターフライに終わったが、バッターボックスを離れたあとも降り注ぐ拍手の雨はやまない。カーテンコール。ビシエドはベンチを出て、全方位に向け帽子を脱ぎ、ファンの歓声に応えた。

名古屋ではちょっとセンチメンタルになった

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「本当に楽しかったし、嬉しかった」

 噛みしめるようにビシエドは言った。

「名古屋は自分にとって第二の故郷。中日での時間は、自分のキャリアにとっても人生にとっても掛け替えのないものです。9年間プレーするのは外国人選手にとって簡単なことではないと思いますし、家族にとってもすごくいい時間になりました。グラウンドに立って、ファンの皆さんがあのように迎え入れてくれて感謝をしていますし、本当に素晴らしい体験ができました。一緒に戦った仲間たちとの再会もあって、そこはちょっとセンチメンタルになりましたね」

“タンケ”の愛称で慕われるビシエドは、そう言うと優しい笑顔を浮かべた。

まだまだ自分はやれる

 翌17日の同カードでは、5番ファーストでスタメン出場。3安打1打点を挙げDeNAの勝利に貢献した。とくに2回表、松葉貴大が投じた高めのストレートを広いバンテリンドームのバックスクリーンに叩き込んだ復帰後第1号は、印象深いものとなった。

「まだまだ自分はやれる、というところを見せたかったので、それを証明できたと思っています。チャンスをくれたベイスターズに感謝したいですね」

 強気な表情を見せビシエドは言った。ちなみにこの一発は、全球団から本塁打達成というプロ野球史上48人目(現12球団では37人目)の記録となった。

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