試合に勝利しての囲み取材なら、もっと違う雰囲気になったのであろう。
延長12回5−5の引き分けは選手から満面の笑みを奪ってしまったが、70年ぶりとなる球団タイ記録の1試合6安打を達成した西川愛也の表情には疲れと同時に強い意志を感じたのは確かだった。
「こんなに打てたのは自分が一番びっくりしています。記録達成は素直に嬉しいです」
実は、西川にはもう一つ記録がかかっていた。
1打席目に右翼安打を放った西川は、その後、本塁打、二塁打を続けてマーク。残りの3安打のうち一つでも三塁打が出ていればサイクルヒット達成だったのだ。これには西川は「狙ってました」と苦笑いを浮かべてこう話した。
「次の打席だけめっちゃ狙ってたんですけど、ビリヤードショットみたいなヒットになっちゃって。そのあとは無意識で行きました」
今季、開幕から主に1、2番を任されてきた。全試合出場はこれまでになく、こうした記録や、現在リーグ最多安打の首位を走ることも未知の体験ばかりだ。交流戦を終えた頃の6月終わりには絶不調に陥った。そこから這い上がってくるのも、初体験のことで試行錯誤しながら、この日を迎えていた。
調子を崩してからなんとか上昇機運に向かったところでの1試合6安打。それはただ安打を重ねただけにとどまらない大きなものがあったのは間違いない。
「調子が悪くなってくると、タイミングが遅くなった状態でコンタクトしようとして、しっかりスイングできないときがあったんです。そこをしっかり一度修正して、早めにタイミングとって、しっかりスイングするということができるようになった。これを継続してやっていきたいと思います」
実は西川は首脳陣にも隠している怪我があった。交流戦のことだった。
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