2025年7月22日11時0分


















阪神小谷野打撃コーチ(2024年10月27日撮影)


阪神小谷野打撃コーチ(2024年10月27日撮影)


<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>


7月。夏の訪れとともに阪神が“スパート”をかけた。1カ月前には想像できなかった勢いで優勝に向かって突っ走っている。

我々取材班は、いろいろな角度から強さの理由を探っている。前回優勝の23年と比べると、主力選手に大きな違いはない。一方で藤川球児監督(45)をはじめ、1軍首脳陣の顔ぶれは変わった。日々阪神の現場にいると、チームを支えるコーチの仕事にも目がいくようになってきた。

好例と感じた場面は7月1日。今季入団の小谷野栄一打撃チーフコーチ(44)が、打撃ケージの横で大山悠輔内野手(30)と話し込んでいた。大山はバットを持っているが、両者とも手は動かさず、ただ会話をしている様子。「今、どういう感覚でやってるの?」。小谷野コーチはそんな問いかけをしたそうだ。

大山が上昇モードに入った、と感じていた。まだ成績には表れていなかったが、その見立てを伝えた上で、何か変えたのか、どんなアプローチをしていて、実際にどんな状況なのかを把握しておきたかった。大山は「こうです」と明確に返答してきたという。

「もともと取り組んでいる意識をもとに聞きました。僕が見た感想を聞いただけです。確認作業ですね。技術どうこうではないです」と同コーチは当時を振り返る。主力選手に対して、試合前に技術のアドバイスはしない。毎日試合に出る選手は個々のプランを持って臨んでいる。その邪魔をしないようにする。困っている時には手を差し伸べる。そういうスタンスだ。

前任の今岡真訪氏も全く同じだった。何かを押しつけることはせず、普段は観察と相談相手に徹した。何かあれば指導の引き出しを開けて、提案する。そうして長所を伸ばし、状態をキープさせられたから、23年の優勝があった。

大山はその日、2安打を放った。翌日からも目を覚ましたように打ち続け、11連勝を導いた。トータルの数字は決して目立つものではない。ただ、シーズン全体を振り返った時に「あの11連勝が分岐点だった」となるのは間違いない。そこに貢献した事実は大きく、彼らを見守るコーチの仕事ぶりもまた価値のあるものだと感じた。【柏原誠】






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