井上一樹監督のもとで奮闘を続けているものの、慢性的な貧打に苦しむ中日ドラゴンズ。球団にとって根の深い課題となった得点力不足を解消する手立てはあるのか? 野球のデータ分析を専門とするアナリストに話を聞いた。(全2回の2回目/前編へ)

 今季も“12球団ワースト”の得点力不足に苦しむ中日ドラゴンズ。株式会社DELTAのアナリストで弁護士でもある市川博久氏は、セイバーメトリクスの観点から現状の中日の打順についてこう提言する。

「理屈上は岡林(勇希)選手を1番に、上林(誠知)選手を2番に置くのが効果的だと思います。2番に打力の落ちる打者を入れるのであれば、打てる2人をくっつけてしまったほうがいい。特に出塁率の高い岡林選手は1番として理想的です」

 一方で、セイバー的に理にかなった打順を組んだとしても、年間を通して変動する得点数は「数点の範囲内。現在の得点環境で考えると、ひとつかふたつ勝ち星が増えるかどうか」に収まると市川氏は語る。だが、本来7番や8番を打つべき打力の選手を2番で起用した場合、そのぶん影響は大きくなる。さらに気になるポイントは、打力の低いバッターを2番に置くことによるバントの増加が、得点を減らしている可能性があるということだろう。

 セイバーメトリクスの理論では、バントが得点期待値を下げる非効率な戦術であることはなかば常識とされている。バントをする選手の打力次第では有効となるケースもあるが、「損益分岐点」とされる打率は1割前後。有効となりうるシチュエーションは、「野手よりはるかに打力の劣る投手によるバント」「どうしても1点がほしい場面で、無死二塁もしくは無死一、二塁からの得点可能性を上げるバント」などごく限定的だ。

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