
DeNA・三嶋
Photo By スポニチ
6月末の月曜日。DeNA2軍練習施設「DOCK」に、1人で黙々とランニングする三嶋一輝投手(35)の姿があった。
大粒の汗を流し「1軍、今どうですか?」と穏やかな表情で記者に話しかける13年目。雑談が続いたが、お互いこの対話の「核心」が何であるべきかを雑談中も当然理解し合っていた。
聞きたいのは、今、三嶋一輝はどうなのか…だ。今季ここまでファームで21試合、1勝1セーブ、防御率2・63。悪くはない。だが、チーム投手最年長は今季1度も1軍登板はない。「結果はコントロールできないけど、自分がするべきことはコントロールできる」と、パフォーマンス向上にフォーカスしている。
三嶋は12年ドラフト2位で法大から入団して以降の過去12年間、1軍で投げなかったことはない。「ここから暑くなる」と1軍投手陣の疲労に気をつかいながら、シーズン終盤の昇格を見据えている現状だ。
加えて言うなら、森唯斗、森原康平、山崎康晃と4腕で合計通算451セーブの猛者たちが今、2軍で過ごしている。ファンの中で、今後この4人はどうなるのだろう?が関心事でもある。
三嶋は言う。「みんな経験のある人ばかり。それぞれの思いを持ってやっている。1軍のことは凄く気にしている」。そして続けた。「ファームに長くいる中で、若手に(もがく)自分の姿を見せたくないという思いもあるが、それよりも結局自分のためにやっている。だから今、全然苦ではないんですよ」。13年目の長期2軍生活を前向きに捉える背番号17の姿があった。
その「苦ではない」を「金言」とともに支えてくれた人のことも明かしてくれた。2軍で指導する鈴木尚典野手コーチは97、98年と2度の首位打者を獲得し、98年に「マシンガン打線」の核として38年ぶりの日本一に貢献した球団レジェンドの1人だ。
同コーチも現役を引退した08年の36歳を中心に、晩年は2軍で過ごすことが多かった。「この前ちょっと尚典さんに“35、36歳のころはどうだったんですか?”と聞いたんですよ」と切り出した。回答はこうだった。
「ファームにいることを恥ずかしいとは思わなかった。ユニホームを着ている以上はプロだから」
その言葉に奮い立ったという。「家庭もあるし、子供のことも考える。今まで通りいかないこともある…」。そんなとき、鈴木コーチの言葉で「プロ野球選手」でいることの幸せを胸に刻む原点に立ち戻った。「ユニホームを着ている以上“使ってもらえない”ではなく、“使わざるを得ない”選手にならないといけないんだ」。35歳にして闘志は着火した。
1軍は目標のリーグVが遠のく大ピンチ。巻き返しの「武器」となるため、目を向けてもらわないといけない。残り少ない野球人生。背番号17は今、全力で「戦力」となるための戦いと向き合っている。(記者コラム・大木 穂高)
続きを表示

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball