◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
気が付けば記者生活は20年が過ぎた。ほぼ半分ずつを取材してきた芸能界とプロ野球界の違いは何かと問われれば、一つは「結果が見えるか」だろう。不祥事は別として、特にエンタメの世界はマイナス部分にフォーカスされることは少ない。プロ野球も、ファンを一喜一憂させる面では同じだが、常に数字が明確に表れる。ある意味で残酷だ。
今、日米通算で1811安打も積み上げてきた男が、プロ15年目で初めての苦難に直面している。広島・秋山翔吾外野手だ。開幕直後に故障離脱があり、復帰後も大盛、中村奨の後輩2人にスタメンを譲る試合が続く。西武時代には15年から5年連続でフルイニング出場。試合に出るのが当たり前だった状況から一変した。リーグ戦再開を前に、今の胸中を慎重に探った質問に対して「野球選手としての終わりというのは、ちょっと考えるようになった」という答えが返ってきた。
毎日、結果が突きつけられる世界だ。チャンスで凡退すれば、スタンドからため息が漏れる。思うような結果が残せていないのは、誰の目にも明らか。触れられたくない状況だとも思う。「終わり―」という言葉は、もちろん危機感もあるが、自分に問いかけるような思いも感じた。「辞めてもいいとは思っていない。このまま終わりたくないなと思う」
3日のヤクルト戦(マツダ)で、代打出場から2打席目の9回2死から史上79人目の300二塁打を達成した。5月23日に王手をかけてから足踏みを続けていた。「積み上げてきたものなので。前に進んでいくきっかけになれば」。6月11日以来の安打で、14打席無安打の長いトンネルから抜け出した。
同じ「1988年世代」には巨人・田中将、坂本、ソフトバンク・柳田らのほか、同僚に会沢もいる。それぞれが同じようにもがき苦しんでいる。「いろんなものを初体験している感じ」と受け止める37歳シーズン。「まだこの先、野球をやりたいと思っている自分がいる」。今年は令和7年であり“昭和100年”。昭和63年生まれの「昭和最終学年」の意地を見届けていきたい。 (広島担当・畑中 祐司)
◆畑中 祐司(はたなか・ゆうじ) 2004年入社。芸能、野球、2度目の芸能取材で嵐の活動休止などを見届け、広島担当は4年目。

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball