今年度、30歳を迎えた大谷翔平世代、いわゆる1994年度生まれの代。かつて世代の先頭を走っていた男こそ、藤浪晋太郎(マリナーズ)である。米・アリゾナの地で、藤浪が思いの丈を打ち明ける。「あの頃は自律神経症のようになっていた」【NumberWebノンフィクション/全6回の2回目/3回目へ】

 緑色のランプが2つ先行する。それだけで蔦に囲まれた巨大なコロシアムはため息に包まれた。

 2013年から2022年まで10年間、阪神タイガースのユニフォームを着ていた藤浪晋太郎は、ほんの少しだけ口を尖らせる。

 阪神のホームである甲子園は日本一、感情豊かな球場でもある。自チームの選手が活躍すれば我を忘れて狂喜乱舞し、反対に失態を演じようものなら子どものように悲嘆に暮れた。

 藤浪は2012年、大阪桐蔭高校時代に甲子園で春夏連覇を達成している。高校時代の甲子園とプロ野球選手になってからの甲子園は相貌がまったく違って見えた。

「高校野球は地元の高校だったので、やや桐蔭贔屓かなぐらいだった。プロになると360度、ほぼ阪神ファンなんで。成績が出ないと手の平を返したようになりますし。全員阪神ファンであるがゆえに全員が敵にもなり得る。敵とまでは言わないまでも、やりにくい空気になる」

 アメリカのホームグラウンドは日本以上に地元ファンで埋め尽くされる。だが、アメリカ人は勝っても負けてもあくまでエンターテインメントとしてのベースボール観戦を楽しみに来ていた。

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball