ティー打撃をする阪神・中野(撮影・平嶋 理子)  
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 阪神・中野拓夢内野手(28)が、スポニチの独占インタビューに応じ、目下リーグ単独トップ(・386)の出塁率を今後も最重視してチームに貢献すると誓った。不動の1番・近本、森下、佐藤輝の強力な3、4番の前を打つ「つなぎの2番」の役割を全うする決意の表れ。その姿勢を2年ぶりのリーグ制覇、日本一へとつなげる。現行の出塁率の計算方法になった85年以降、2番打者がタイトルを獲得すれば初めての快挙になる。(取材・構成 倉世古 洋平、八木 勇磨)

 (上)からの続き

 ――妻のサポートがあってこそ。

 「自分は今まであまりサプリを飲まなかったんですけど、妻の勧めもあって飲み始めました。妻は、他の選手が飲んでいるというのを耳にしたり、周りから聞いた知識もあると思いますけど、“ビタミン系ならこういうサプリがあるから飲んだ方がいいんじゃない?”と教えてくれます」

 ――夏を迎えるにあたり、しっかりと食事を取れる環境は重要。

 「自分は夏場に体重が結構落ちてしまうので、その点を妻にも伝えています。(食欲が落ちる)夏でも食べやすいメニューをつくってくれると思います。自分は1回の食事で多くの量を食べられないので、間食をうまく入れて、なるべく体重の減り幅を小さくするような努力を、この夏はしていきます」

 ――7連敗を喫した17日のロッテ戦後、責任感のあるコメントをした(※注1)。

 「負け方が負け方だったので…。連敗中は逆転負けが多く、よりダメージのある負けでした。気持ちが落ちやすい負け方が続いて、盛り上がるにも盛り上がりにくい状況もありましたけど、そこは切り替えて毎日やっていくしかないので」

 ――いいメッセージだった。

 「一応、選手会長なので(笑い)。チームのことも気にしなきゃいけないですし、かと言って、全体を集めて言うのも…。言い過ぎたらより重くなって(他の選手が)考えてしまうこともあると思う。そこは個人個人がもう本当にわかっていると思います。みんなプロ野球選手なので。必要以上に言わなくていいかな、とは思いました」

 ――今年は打撃フォームに続いてバットも変えた(※注2)。打者としての根幹を相次いで変える怖さは。

 「プロに入って今までバットを変えることはなかったですし、同じバットをずっと使っている方が体に染み込んでいる分、扱いやすさがありました。ただ、(開幕3戦でチームで唯一無安打)あまりにも状態がいい方向にいかなかったので、そのタイミングで思い切って、何かを変えてみてもいいのかなと。少し不安もありましたけど、変えるなら逆にこのタイミングしかなかった。いろんなバットを使いながら、そこから状態は上がっていったので、試して良かったと思います」

 ――オフから取り組んできたフォーム改造と、バットのモデルチェンジがかみ合った。

 「スイングの軌道を見ても、昨年よりコンパクトにバットが出てきています。その分、多少重みがあるバットの方が、しっかりとミートした時に、強い打球が打てる。ということを、(新バットを)使っている中で凄く感じました。今のスイングの軌道と、打撃フォームと、バットの3つの要素がかみ合っていると思います」

 ――セ・リーグとの戦いが再開する。

 「今まで通り、しっかりと守り勝つ。夏場になるとどうしても投手も疲れてくると思うので、野手がもっと点を取って、楽に投げさせられるような展開を多くしたい。接戦をものにするのがタイガースの野球。守り勝つ野球を、これからもしっかりと意識しながらやっていきます」

 ※注1=1―3で逆転負けを喫し、試合後に「チャンスでは打ちたいと誰もが思っている。それが今、うまくいっていないだけ。全員で助け合ってやっていく。誰か一人が背負い込むのではなくチームで戦う」と語った。

 ※注2=4月11日の中日戦では井上から借りて3安打1打点。翌日以降も継続使用し5月3日のヤクルト戦では一転、中日・中田のバットで2安打1犠飛をマーク。いろいろなモデルを使用して試行錯誤している。

 【取材後記】記者の世界にもAIが浸透している。アプリを使えば、インタビューの音声をものの数十秒で文字化できる。だが、完全に再現できるかといえば怪しい。たいてい、変な日本語や、誤変換がいくつも発生する。その都度、修正に時間を要する。

 その点、中野は楽だ。今回のインタビューを構成した八木記者は、「手直しの必要がほぼなかった」と驚く。手間いらずの理由は取材に同席したから分かる。中野の話は聞き取りやすい。ハキハキ答え、説明もうまい。AIに感情があれば、任務を完璧に遂行できて喜んでいるだろう。

 中野は7連敗した17日に、報道陣を通じて「もっと周りを信じて」とチームに訴えた。翌日、連敗が止まった。守備だけでなく、AIにエラーを起こさせないしっかりとしたメッセージ力が、中野の魅力になっている。(倉世古 洋平)

 ○…甲子園で行われた全体練習で、中野は本隊のメニューに合流した。22日のソフトバンク戦で頭部死球を受けた影響で、前日まで別メニュー調整を続けていた。「痛みは別にないので大丈夫です」とシートノックでは二塁で軽快な動きを披露し、打撃練習では広角に鋭い打球を打ち分けた。打席に入った時の怖さを問われ「試合にならないとそれは分からない。でも怖さ、怖さと言っていたら野球はできない。そこは頑張ります」と話した。

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