今季、試合終盤で常に頼りになる剛腕ぶりを見せているウィック。筋骨隆々の体から想像するのとちょっと違う(?)物静かな口調で、2年目の適応について語ってくれた。〈全2回の2回目/はじめから読む〉
新天地での活躍を心に期して来日した昨年。しかし、春先のウィックは目指す投球と求められるもののギャップに苦しんだ。そんなとき、ウィックに徹底的に寄り添ったのが入来祐作ファームチーフ投手コーチだった。
入来コーチは真摯な表情で当時の様子を次のように振り返る。
「彼の持ち味は真っすぐとカーブなのですが、とくにカーブにはこだわりがあり『オレはこれでメジャーでやってきた!』という信念がありました。まずはそのマインドを変えることが必要でした。
もちろんいいボールではあるのですが、コンタクトタイプの多い日本の打者は、カーブが多いとどうしても捉えられてしまうということを説明して、まずは威力のある真っすぐを磨いていこうと。あとはクイックですね。あまり器用なタイプではないので、そこをじっくりと指導しました」
強味を生かし、こだわりを良化し、弱点を埋める。慣れない環境下、入来コーチとウィックは向き合い、互いを理解すべく議論を重ねた。
「だから時間はかかりましたよ。頑固な選手なので(苦笑)。ただ僕としても根気強く『もういいや』と受け流さず、事あるごとに口を酸っぱくして言いました。真剣に語りかけ、真剣に聞き入れてもらうまで」
しつこいぐらいの本気の進言にいつしかウィックは心をほどき、日本の野球にアジャストしていく。入来コーチは表情をゆるめて、つづけた。

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