パ・リーグ首位を走る北海道日本ハムファイターズ。ショートを守る水野達稀は9番打者ながら、チャンスに強くパンチ力のあるバッティングで存在感を増している。その才能を開花させたきっかけはSNSで水野を鼓舞する新庄剛志監督のひとことにもあった。<全2回の前編/後編へ>
“昭和の匂い”を漂わせる数少ない選手
武骨であり、気骨があり、反骨心もある。北海道日本ハムファイターズの水野達稀を見ていて感じる印象なのだが、すべてに「骨」という文字が入っている。要するに骨のある人なのだろう。
グラウンドでは笑わず、仏頂面を貼りつけている。理詰めでスマートさが美徳とされる現代において、昭和の匂いを漂わせる数少ないプロ野球選手のひとりである。
2025年のシーズンが始まると、ほどなくして、芯の強さを見せつけた試合があった。
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2年連続で開幕スタメンに名を連ねたものの、開幕戦から5試合ノーヒットがつづいた。4カード目の東北楽天ゴールデンイーグルス戦を迎えても状態は上がらない。4月8日の初戦も3打数無安打に終わり、打率は.083まで落ち込んでいた。すると、新庄剛志監督は翌9日の同カードでスタメン落ちの荒療治に出た。
その日はショートの守備から途中出場。3点リードの8回、2死満塁で打席が巡ってきた。宮森智志の高めに浮いた速球を見逃さなかった。強振すると右中間最深部を破り、走者一掃のタイムリー三塁打をマーク。チームの勝利を決定づける一撃になった。
水野は翌日のゴールデンイーグルス戦も攻め手を緩めない。「9番ショート」でスタメン復帰すると、第1打席でセンター前に運び、3回は2死一、二塁で打席に入った。岸孝之の浮いたチェンジアップを迷わず引っ張ると右翼スタンドへ。今季初アーチの3ランでワンサイドゲームに持ち込んだ。この日は3安打。4打点は自己最多だった。たとえ逆境にあっても、与えられた場面で巻き返しを図る。ピンチで燃える性格なのだろう。数々の試練を乗り越えてきたガッツマンの本領だった。
新庄監督との約束
今季は水野にとってレギュラーを完全に摑みとるための大切なシーズンになる。春先の不振を脱すると、4月下旬以降は安打を連ね、打率も2割5分前後まで上昇した。
開幕前には、こんな意気込みを語っている。
「正直、具体的な数字は決めていなかったのですが、ボスに『2割8分打て』と言われましたから。(24年の)2割2分から6分上げるのは難しいことかもしれませんが可能性はあります。毎年、キャリアハイを目標にしているので、前年の自分を超えたいですね」
水野には新庄と交わしている約束があった。
25年の元旦。
水野はインスタグラムのDMで新庄に新年のあいさつをすると返信が届いた。

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