プロ野球選手という自身の夢とともに、カーマニアである“父の夢”もかなえた。「生まれた時からクルマ好きです」と誇らしげに話す埼玉西武ライオンズの野村大樹内野手(24)は、プロ3年目に初めての愛車「BMW・M6」を手に入れた。父の憧れでもあった1台で、前回に続く後編は、その“相棒”選びにまつわる親子の絆と家族思いの一面に迫った。(取材・文=猪俣創平)
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黒光りするボディーがまぶしい現在の愛車「レンジローバー・スポーツ・オートバイオグラフィー」を駆って、さっそうと取材先に登場。「クルマの取材を受けるのは楽しいですね」と声を弾ませながら、まずはクルマ好きのきっかけとなった父親について話してくれた。
「父はとにかくクルマへのこだわりがすごい。車庫はクルマが見えるように全面ガラス張りだし、僕が小学生の頃からポルシェ911にずっと乗っていて、昔は羽(リアウイング)をつけたこともありました。めっちゃ目立ちますよ」と、父のド派手な愛車とともにそのカーマニアぶりを明かした。
コンパクトなスポーツカーとあって普段使いには不便そうに思われるが、「どこかへ行く時は必ず911で出かけました」と野村家の“ファミリーカー”にもなっていた。「僕は助手席に乗るのが好きでした。荷物は何も載らないんです。前にトランクがあって、ボンネットを開けても小さいスーツケースが1個入るかどうかです(笑)」と家族での密なドライブ時間もいい思い出になっている。
多感な時期を911で育ったからか、野村は“外車好き”としてクルマ愛を深めた。今ではテールランプを見ただけで「全車種ほぼ言えます。特に外車は」と特技にもなった。
野球人生においては、2018年にドラフト3巡目指名で福岡ソフトバンクホークスに入団した。そして、プロ3年目の21年、ついに念願のマイカー購入を決断する。初めてのマイカー選び。さまざまな愛車候補を試乗して悩みながらも、頭の片隅にあったのは父親の愛車にまつわる思い出話だった。
「父は大学生の時にお小遣いを貯めてBMWの3シリーズを買って、マフラーなどを変えてM3のように乗っていたそうです。でも、買ってから1か月もしないうちに阪神淡路大震災(1995年)で車体が潰れてしまったと。父はそのとき、潰れた愛車を前にしてショックのあまり膝から崩れ落ちて泣いたと言っていました。それもあって、父親がずっと『BMWのM3とかM4に乗りたい』と言っていたんです。だから僕は、父のためにも最初のクルマは絶対にBMWを買うって決めていたんです」
震災でついえた父の“幻の愛車”を再び――。そんな思いと同時に、野村は「後ろに親を乗せてあげたい」と“親孝行”も胸の内に秘めていた。「正直ジャガーのFタイプに惹かれましたけど、2シーターなので乗せられないんですよ。親を乗せたい気持ちも強かったですし、やっぱりBMWを買ってあげたいと思い、M6にしました」と初心を思い出して決断した。

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