中川勇斗 / 髙寺望夢

絶えることなくトップチームを活性化させる王者タイガースの選手育成ノウハウは、指揮官の趣味に相通ずるという。(原題:[新戦力分析]まるで備前焼のように)

「6番問題」は、2025年の猛虎打線に残された唯一の泣きどころだった。

 1番近本光司、2番中野拓夢、3番森下翔太、4番佐藤輝明、5番大山悠輔が、役割にふさわしい成績を残して史上最速リーグ優勝をけん引した一方で、6番だけは数字に見放された。打順別打率.198は、投手が入ることが多い9番を除けばチームワーストの数字であり、次に低い8番の.229をも大きく下回った。合計13人が日替わりのようにしてスタメンを務めたことが、適役不在を証明していた。

 クリーンアップが残した走者を迎え入れる勝負強さと、下位打線に好機をもたらす長打力を兼ね備える6番がいれば、打線は必然的につながる。今年は「得点力アップ請負人」の候補が揃っている。

 ドラフトで3球団が競合した立石正広はその筆頭だ。3月19日のファーム・オリックス戦。甲子園と同じ形状の二軍本拠地「SGL」の深い左中間に、ライナーで放り込んだことが非凡さを証明していた。

 立石は、WBC日本代表の森下に「プロ入り時点では自分より力が上」と言わせる打撃センスの持ち主である。180cm、87kgの体格から放たれる打球に自然と角度が付くのは、森下と同じ都内の野球研究施設でつくり上げた現代風スイングの結晶だ。さらに、’92年バルセロナ五輪に出場した母・郁代さん(旧姓苗村)をはじめ、父と姉2人もバレーボール選手という血筋が、飛距離に追い風を吹かせる。前年ドラフトから球団が1位指名を決めていたという「広い甲子園でホームランを打てる素材」(球団関係者)は、この先、経験に比例して本塁打数を積み上げるに違いない。

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