中日でMVP獲得の中尾孝義氏、新人は「乗っちゃえば、力以上のものが出る」

 プロ野球が開幕した。今年もルーキーとして最高峰のレベルに挑戦する者、飛躍を期す若手のホープ、昨季までとは役割が180度変わる選手、メジャーから日本球界に復帰するベテランら多士済々の面々がファンを楽しませてくれるだろう。1982年に中日で優勝してMVPを獲得するなど、巨人、西武と3球団で名捕手として鳴らした野球評論家の中尾孝義氏に注目選手を挙げてもらった。

 今シーズンの開幕戦は、新人たちが躍動した。中尾氏は「最近のルーキーは緊張しないよね。本人たちの中では硬くなっていたかもしれないけど、緊張したところが全く見えない。育ち方が違うのかな」と舌を巻く。

 まずは「開幕投手」。2人も栄えある大役を務め、きっちりプロ白星を手にした。巨人はドラフト1位の竹丸和幸投手(鷺宮製作所)が連覇を目指す阪神を相手に6回1失点。表情を変えることなく淡々と投げ込んだ。

 ロッテの毛利海大投手(明大)も西武戦で制球良く5回を無失点。ともに本拠地のファンの前で名刺代わりの好投を披露した。新人開幕勝利は竹丸は長い伝統を持つ巨人で初めて、毛利は球団76年ぶりの快挙。「チームが乗っていくには、若い力が必要なんです。選手本人も乗っちゃえば、力以上のものが出ます」。巨人・阿部慎之助、ロッテ・サブローの両監督が大抜擢した理由を推察する。

 野手では広島が際立った。開幕戦の中日戦(マツダ)で9回にドラフト1位の平川蓮外野手(仙台大)が左翼線へ落とす同点の2点二塁打。延長10回には勝田成内野手(近大)が右前へサヨナラ打を放った。平川はスイッチヒッター。中尾氏は高橋慶彦、正田耕三、山崎隆造と3人ものスイッチに悩まされた自身の現役時代を思い出す。「いかにもカープらしいよね。1、2番が俊足や巧打を活かした形で出塁して中軸へつなぐ。そういう野球が戻れば、広島も強くなりますよ」。

巨人・石塚はチャンスを一気に掴めるか 「マエケン」「マー君」にはまだまだ期待

 開幕1軍にこそ姿がないものの、ブレーク候補の呼び声が高いのが巨人の昨年ドラフト1位・石塚裕惺内野手だ。まだ高卒2年目の20歳。ジャイアンツは絶対的な存在だった岡本和真内野手が米大リーグ・ブルージェイズ入り。新星を待望する。「巨人は岡本が抜けてベテラン選手たちの力量もほぼ分かっている。今は新旧が入れ替わる時期。石塚がポンと1軍に上がったチャンスで結果を出せるかでしょう。まさに坂本(勇人内野手)がそうだったよね」。坂本は二岡智宏内野手が故障で離脱している間に一気に定位置を掴んだ。

 通算134セーブを誇る広島の栗林良吏投手は、6年目で先発に配置転換された。プロ272試合目にして初の先発登板だった3月29日の中日戦(マツダ)で1安打完封。95球で9回を賄う「マダックス」で成し遂げた。「抑えは少ない球種だけでも押し切れる。だけど、先発となると、そうはいかない。長いイニングを投げるには、緩急を使えるボールが欲しい。それに加えて制球力が鍵になります」。カーブも有効に混ぜるなど、中尾氏の言葉通りの内容で新しい仕事の一歩を踏み出した。

 「マエケン」こと前田健太投手はメジャーから日本球界へ11年ぶりに復帰した。4月11日の誕生日を迎えると38歳。広島から米挑戦し、今度は楽天のユニホームを着てパ・リーグで戦う。「もう若くはないですからね。スピードは以前よりなくなっています。こういうピッチャーは、どれだけ制球力と緩急の差を活かせるか」とポイントを説明する。

 前田と同学年の「マー君」こと巨人の田中将大投手は、どうなのか。巨人1年目の昨シーズンは日米通算200勝こそ達成したが、シーズン3勝に終わった。「打者の手元でボールが変化していたのが、だんだん遠くなってきている。だから見やすい。本人もコーチも気付いているはずですが、実際にできるかは別。球持ちがよければ大丈夫。いい変化球があるので打ち取る術は持っています」。中尾氏は、まだまだ活躍を期待している。

(西村大輔 / Taisuke Nishimura)


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