宮崎合宿最終クールのブルペン。“ダルビッシュ先生”が投球練習をじっくりと見守った左腕は、WBCに挑む「侍ジャパン」の投手ではない。日本代表ユニフォームに「背番号31」をつけた若武者は、ソフトバンク2連戦のためにサポートメンバーとして帯同する広島カープの23歳、佐藤柳之介投手。NPB組の限られた代表メンバーの中でも試合を行えるよう、宮崎でキャンプを張る各チームから集められたいわば“お助け侍”だ。

 富士大から昨年プロ入りし、一軍登板6試合という2年目左腕のために、侍ジャパンのアドバイザーを務めるダルビッシュ有投手があえて時間を割き、ブルペンでの全46球を見守った。投球中はポイントを確認しては時折言葉をかけ、トラックマンのデータもチェック。投げ終わると約10分間も話し込んでアドバイスを送った。

「サポートメンバーの自分にもこんな風に自分の持っているもの教えてくださった。本当にすごい方だなというか、ありがたいなと思いました」

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 レジェンドと過ごした貴重な時間に佐藤は興奮を隠せない。

「自分はそこまで意識したことがなかった」

 この日合流したばかりの投手陣の練習時に、ダルビッシュの方から「ブルペンに入るの?」と声をかけられた。「入ります」と答えると、「何か気になっているボールはある?」と尋ねられたという。

「スライダーがちょっと大きく曲がりすぎるので、どちらかというとジャイロ回転のスライダーを投げたくて……」

 佐藤は課題としているスライダーについて、ダルビッシュから握り方や投球時の体の使い方を教わり、データの見方までアドバイスを受けた。その中で目から鱗が落ちる思いだったという意外な助言があった。それは、ピッチングそのものではなく、ブルペン投球時に投手がボールを受けてくれる捕手に対して示す「ジェスチャー」についてだ。

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