森下翔太 / 佐藤輝明

スタメンか。代打の切り札か。そうそうたるメジャーリーガーが集う大舞台で、阪神主砲コンビの立場は絶対的とは言えない。それでも2人はなぜ意気揚々と日の丸に忠誠を誓うのか――。(原題:[連続インタビュー(1)]佐藤輝明&森下翔太「虎視眈々と」)

 佐藤輝明は中学卒業時、野球からサッカーに鞍替えする可能性があった。

「いや~普通に全然あったんじゃないですか。中学校のときは野球熱がなかった。サッカー熱の方がありましたから」

 阪神タイガースジュニアに選出された小学6年時、右肘を痛めた。進学先は地元の兵庫県西宮市にある公立中学校。一応は軟式野球部に所属したものの、ノースロー期間は幽霊部員にも近い存在だった。

「投げられないから1年間休みますと言って、1年生のときはほぼほぼ休んでいました。そこらへんの時期からサッカーの方が面白くなって、放課後は近くの公園でずっとサッカーをやっていましたね」

 小学6年生だった2010年6~7月、南アフリカでサッカーW杯が開催された。日本代表は下馬評を覆してベスト16に進出。流行りに敏感な子供がボールを蹴りたくなるのはある意味、自然な流れでもあった。

「本田圭佑選手に香川真司選手、長友佑都選手……。個人的には結構、遠藤保仁選手とか『ボランチの選手すげえ』って感じていました。当時は遊びでやっていただけなので、得点決めるのが楽しかったな」

Hideki SugiyamaHideki Sugiyama

 楽しいか、楽しくないか。

 カッコいいか、カッコ悪いか。

 この二択は長らく佐藤輝にとって重要な判断基準であり続けた。

 自宅からほど近い仁川学院高に進学すると、友人の説得にもほだされ、硬式野球を始めた。筋トレに目覚め、白球を空に打ち上げる喜びを取り戻し、未来の大砲はスタート地点にUターンした。

 プロに入りたい。そして、いつかは……。野球に懸ける情熱を再燃させたあと、脳裏に蘇ってきたのは幼少期、テレビ画面に釘付けになっていた記憶だった。

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photograph by Hideki Sugiyama

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