WBC開幕を目前に控えた侍ジャパンのテストマッチ最終戦。1点リードの9回、試合を締める最終回のマウンドに上がったのはあの男だった。

「仲地に代わりまして ピッチャー 根尾」

 投手交代を告げるアナウンスに、どよめきと大歓声が湧き起こる。日の丸ユニフォームに「背番号30」をつけた“クローザー”は、サポートメンバーとして参加している中日・根尾昂投手だ。

「そら根尾やもん!」

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 京セラドームの盛り上がりに目を丸くした三塁側ベンチ脇のグラウンドキーパーたちがこんな会話をしていた。

「すげえな……」

「そら根尾やもん!」

 関西の野球ファンはあの夏、甲子園を燃やした大阪桐蔭「最強世代」のヒーローを忘れはしない。送られた大歓声は、プロ入り後、伸び悩む右腕へのエールだった。

「1点差の最高のシチュエーションで回ってきた。もう、最高でした。(大歓声は)あんまり聞こえていなかったですけど……」

 その言葉通り、根尾は集中力を研ぎ澄ませていた。阪神の先頭打者、熊谷敬宥に投じた4球目のストレートは149kmをマーク。続くインハイへのストレートでレフトフライに打ち取ると、谷端将伍もスライダーとストレートで飛球に仕留める。勢いそのまま、小野寺暖もテンポ良く高めのコースを攻めてライトフライ。全9球で危なげなく三者凡退に抑えてマウンドを降り、大谷翔平選手ら日本代表メンバーの笑顔の隊列とタッチを交わした。

「テンポ良く投げられたのが良かったです。今色々と試している部分がちょっと出来たところもあったので。ボールの精度やバッターとの間合い……。シーズンが始まるまでに、もう一段階、二段階、仕上げていきたいなと思います」

 プロ入り後、“初セーブ”を挙げた根尾は、清々しい表情を浮かべていた。

「アイアトンさんと一番話が盛り上がった」

 日本代表が大阪入りした3月1日からサポートメンバーとしてチームに合流した。

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