ヤクルトで長年にわたってプレーし、引退後は敏腕スコアラーに。侍ジャパンの一員としてWBCも経験した志田宗大氏に現役時代の思い出と「データ実践、現場のリアル」を聞いた〈全2回〉

 2010年限りで9年間の選手生活に区切りをつけた志田宗大氏は、引き続き東京ヤクルトスワローズで、スコアラーとして第2のキャリアを踏み出した。

「引退して時間ができました。どうしようと思っていた時に球団から、仕事が決まっていないのなら球団に仕事はあるよ、と声をかけていただいて、スコアラーになりました」

じつは“12球団どこも”同じデータを取得している

――近年、プロ野球は情報化が進んでいますが、最近のスコアラーはどんな仕事をしているのですか?

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「仕事は昔とそんなに変わってないのかなと思います。データを取得しないと始まらないので、そこから始まりますが、今は球場に行かなくてもデータを取得できる。それを分析して選手にミーティングの席で話すのが主な仕事だと思いますが、そこで話す内容で差がつくと思います。分析の仕方や伝え方とか、スコアラーに優劣をつけるとすればそこしかないと思っています」

――12球団とも同じデータを入手して、それを分析しているわけですか?

「そうです。試合で取得するデータは“取れている、取れていない”の違いはなく、どこも同じです。そこでは差別化はできない。そこからいろんな傾向を見いだして、それを選手、コーチ、監督にレクチャーしていくわけで、その伝え方で技量の差が出るわけですね」

当たり障りのないデータを出していても仕方がない

――志田さんが重要視していたのはどういう部分ですか?

「たくさんあるデータの中から『選択』して『集中』、分析するのが重要で差が出る。そこを優先していました。そういう感覚に乏しい分析者は、説明があっちこっちに飛んで理路整然としない。たくさんデータを出せば『やってる感』を出すことはできますが、聞いている方は混乱する事が多い。

 まず相手のニーズを察知して、そこに刺さるよう説明をしないといけないんですが、自分の思いだけでやっているのは、良い分析とは言えず自己満足で終わります」

――データを出すにしても「出し方」「相手のニーズに合わせること」が必要なんですね?

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