カープ2年目の岡本駿は、春季キャンプを目前に控えた1月末に、レギュラー争いが「横一線」と強調されていることを歓迎していない様子だった。
1年目の昨季、中継ぎで41試合に登板したとはいえ、今季挑戦する先発としての実績はない。経験ある選手や先発として結果を残した選手を含め、「横一線」の争いは歓迎すべきはずだが、なぜ──。それを問うと、いつものゆったりとした口調で教えてくれた。
「『横一線』ということで、年上の人たちの調整も早いんですよね。ゆっくりやってもらわないと、僕たちがつけいる隙がなくなってしまうんじゃないかなって……」
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意外だった。普段はおとなしく、口数も多くない。闘志を前面に出すタイプでもない。ただ、開幕ローテーションの一角を狙う覚悟が感じられた。挑むのではない、奪うのだ。「横一線」の争いに、静かに牙を研いで飛び込んだ。
首脳陣に示した進化の証
1次キャンプ第3クールの初日からの紅白戦に、若手だけでなくベテランも出場することが伝えられていただけに、例年よりも仕上がりが早い。同時に調整遅れで悪目立ちする選手も少ない中で、若手にはアピールが難しい状況だったと言える。それでも岡本は確かな進化を首脳陣に示した。
キャンプ3日目には初めて打者を相手にフリー打撃に登板した。投球前に球種を伝えながら打者6人相手に5球ずつ、計30球を投じた。
「開発中」と明かした新たな武器に手応えを得た。真っすぐよりも遅く、チェンジアップよりも速い「半速球」。まだ試投段階とはいえ、空振りを奪い、球を受けた坂倉将吾からもお墨付きをもらった。2種類の直球とチェンジアップで奥行きの幅を広げることで、カットボールやカーブもより有効となる。ほどよく力が抜けたような腕の振りから投じられた真っすぐは、最速147キロを計測した。
「今日は8割、9割ぐらいの力で投げました。これぐらい(の力)で9回を投げられるようにしたいので、もっともっと投げ込みしないといけない」
30球で安打性の当たりを3本に抑えた結果以上に、成長の跡を感じさせる投球だった。第2クールでは100球以上を投げ込み、先発へのモデルチェンジも順調そのものだ。
無我夢中で駆け抜けたルーキーイヤーとは違う落ち着きもあるが、新境地開拓へ向けた必死さは1年目と変わらない。

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