前田の周囲に笑顔の輪…緩急駆使した話術でベテランからルーキーまで目配り
11年ぶりに日本球界に復帰した楽天・前田健太投手がチームの貴重な潤滑油となっている。戦力としてはもちろん、前田の持つ高いコミュニケーション能力は、投手陣の結束を取り持つ意味で、貴重な“戦力”となりそうな期待を含んでいる。
沖縄・金武キャンプは第3クールに入り実戦メニューも増えてきた。前田自身の調整も順調に進み、笑顔でチームメートと会話をする姿はキャンプでの日常風景となっている。第1クール最終日には内星龍、藤井聖、西垣雅矢の3投手と食事会に出かけ焼き肉に舌鼓を打った。
前田が話をする相手は特定の誰かではなく、誰とでもの“全方位外交”。グラウンドでは自然と周りに投手陣が集まり笑いの輪が広がっている。
第2クールのある日、サブグラウンドで前田はグループ分けされた鍛冶屋蓮、今野龍太、ドラフト2位・伊藤樹の3投手を相手にリラックスした表情で“青空座談会”のMC役を務めていた。
メディシンボールを使ったエクササイズをしながら、自然とメジャーの話になり、前田が日本とは違うMLBの契約システムを解説。昨年のタイガース時代に自身も味わったシビアなアクティブロースター、ベンチ入り枠の話をし3人が聞き入っていると、今度は「投手会の集まりにラテン系選手はあまり参加しない」という現場ネタで話を変換する。
また「オレ、(夏場の)短パン練習反対派やねん!」といったネタで持論を展開するなど、“緩急”を使った話術で34歳の鍛冶屋から22歳のルーキー・伊藤までが入りやすいトピックを、状況によって使い分け会話を盛り上げていた。
初めて入った投内連係では、鈴木大地の「マエケンさん、入りま~す!」の号令で内野陣から歓声が沸き、前田が軽快にバント処理をし三塁へストライク送球を送ると、内野陣の喝采に笑顔で応じ、その“歓迎”に応えていた。
伊達みきおの直撃に「新しいチームメートとのやり取りが楽しい」
大のイーグルスファンであるサンドウィッチマン・伊達みきおが金武キャンプを訪れた際には「(調整は)順調ですし、楽しいですね。米国と違う新しいチームメートと毎日コミュニケーションしていくのが楽しい」と新天地への適応が順調であることを語っていた。
昨年12月の入団会見ではチーム内に友達がいないことを懸念していた前田だが、フタを開けてみればその心配は全くの杞憂。自ら若手投手陣の中に飛び込み、日を追うごとに仲間の輪が広がっている状況だ。
三木肇監督はキャンプ初日から「明るくみんなと積極的にコミュニケーションを取ってくれている。彼の良さなのか、みんなに積極的に寄って行って話しかけてくれている」と、自らチームに溶け込もうとする前田の姿勢に敬意を表している。
また、新任の小野寺力投手コーチは「若い選手がいろんなことを聞いている。マエケン本人が『いつでもいいよ』とオープンな姿勢でいてくれるので、ありがたいですね。そういう人がいてくれるのは」と首脳陣にはできない役割を進んでこなしてくれている前田の姿勢に脱帽する。
続けて「マエケンの周りに常に若い投手がいる。本人も気を使っている部分があるんでしょうけど、スター選手だけど誰に対しても垣根を作らない。みんなが話しかけやすい雰囲気を自分から作っている。若い子はやりやすいんじゃないですかね。いろいろ話を聞けたり、教えてもらったりできるから。今年いろいろレベルアップをしていかないといけないチームですし、チームの結束という部分では、普段のやり取りから人間関係をつないでいかないといけない。これはコーチとしてありがたいですね」と、小野寺コーチは感謝した。
コミュニケーション能力の高い前田が、投手陣一人ひとりに気を配りその間を取り持ってくれている“無形の効果”に、首脳陣も最敬礼しているようだ。
(伊藤順一 / Junichi Ito)

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