シアトル・マリナーズをリリースされ、次の道を模索していた乙坂智に最初に連絡をくれたのは、読売ジャイアンツの関係者だった。

 獲得の意思を伝えられ、考えてから返事を欲しいと言われた。2021年のオフに横浜DeNAベイスターズを退団して以来の、NPBへの復帰。ずっと海外でメジャーを目指し奮闘してきた乙坂は悩んだ。

同じセ・リーグのジャイアンツでいいのか

「ただクビになった後でしたし、必要とされることがむちゃくちゃ嬉しかったんです。とはいえベイスターズに愛着というか思い入れが強かったし、同じセ・リーグのジャイアンツに入団するのはどうかなって、すごく悩みました。けど今まで海外で頑張ってきましたし、きっとベイスターズファンの方からは『ジャイアンツでも頑張れよ』って言ってもらえるんじゃないかなって思ったんです。

ADVERTISEMENT

 その後、米独立リーグのチームからもオファーがありました。けどスピード感を大事にしたいというか先方の思いの深さも含めて、これまでも一番最初にオファーをしてくれたところに決めていたんで、めっちゃ悩みましたけど、ジャイアンツのために全力で頑張ろうと覚悟を決めて、日本に帰ることにしました」

 7月11日に入団テストが行われると合格し、翌日正式契約した。3年半ぶりのNPBへの帰還。久しぶりに日本の環境で野球をプレーしてどのような思いが胸に去来したのか。

「僕がベイスターズを離れたのは28歳のときで、当時は中堅だったんですけど、帰ってくると年上の部類になっていました。だから若手たちが、いろいろ僕の話を聞きたがって、改めて自分は面白い野球人生を送ってきたんだなと思うと同時に、これをちゃんと伝えていきたいなと思ったんです」

経験を伝えることは意識的にやっていた

 日本を離れ、ほぼゼロベースで各国を渡り歩きマイナーまでたどり着いたキャリアは稀有なものだ。

「プレー以外でジャアンツにできる貢献を考えたとき、どうしても今日明日ばかり見て視野が狭くなりがちな若手に、言葉のギフトというか、自分の経験を通して、そんなに悩まなくても大丈夫だよとか、いろいろ伝えることは意識的にやっていましたね」

【次ページ】 ハマスタの応援に感動

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball