今季、阪神の主将に任命された坂本誠志郎は、大きな“危機感”を抱いていた。昨秋の日本シリーズで見せつけられたソフトバンクとの“大きな差”。「タイガースはまだ強くなかった」と痛感した扇の要が2026年シーズンの展望を明かした。<NumberWebコラム全2回の前編/後編へ>
技術的にもメンタル的にも…大きな差を感じた
坂本誠志郎は今オフ、隙あらば仲間の危機感をあおろうとしていた。
「もう、感じたことをそのまま言ってしまおうと思って。じゃないと気付けない選手もいるかもしれませんから」
そこはNPB屈指の頭脳派捕手とも称される男である。やはり意図的に厳しい言葉を発していたらしい。
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テレビ収録やイベントの最中は笑顔を絶やさない。その一方で、2026年シーズンに向けた質問をぶつけられると、途端に勝負師の仮面をかぶり直した。
たとえば12月15日、契約更改後の会見中もなかなか表情は緩まなかった。
「チームとしてレベルを上げないといけない」
「差がないと思っている選手は成長していかない」
シビアな表現の数々を耳にしていると、つい数カ月前の歓喜が幻だったかのようにも思えてくる。
2025年は扇の要として阪神をセ・リーグ史上最速優勝に導いた。それなのに、美酒の余韻に浸ってしまう瞬間を極度に恐れているようにも映った。
なぜ、そこまで切迫感を募らせているのか。
理由は1つしかない。
「バットを振る力、飛ばす力、スピード……。その上、ソフトバンクの選手たちは皆、めちゃくちゃ頭も使っていました。それに対して、僕たちは野球選手としてのシンプルな能力が足りなかったんです」
昨秋の日本シリーズ。タイガースの司令塔は何年もかけて地道に積み上げてきた自信を打ち砕かれたのである。
「勉強になる試合をさせてもらいました」
坂本は2年ぶりの日本一を逃した10月30日の夜、薄暗い甲子園のバックヤードで静かに完敗を受け止めていた。
「技術的にもメンタル的にもいろんなことがこう……大きな差を感じました」
シリーズの結果は1勝4敗。敗れた4試合のうち3試合は1点差の惜敗ではあったが、点差だけでは計り知れない「差」を突きつけられたのだという。

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