72年ぶりに誕生するアメリカの女子プロリーグに挑戦する島野愛友利が今秋、ドラフトで指名されたのはロサンゼルスのチームだった。くしくも、かの地ではメジャーリーグで3年連続MVPに輝いたロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平がプレーしている。女子野球の第一線で二刀流プレーヤーとして活躍してきた彼女は何を思うのか。異国でのチャレンジと思い描く未来について聞いた。〈全2回の後編/前編も公開中〉

突然奪われた“野球の時間”

 巨人の女子チームには、結成2年目から全国各地のトップ選手が集まってきた。1期生4人のうち、島野愛友利も主に内野手としてチームの主力を張った。

 ジャイアンツアカデミーのコーチとして子どもたちに野球を教えながら、女子チームの活動に取り組む日々の中、2023年6月、大きなけがに見舞われた。

 守備練習中に足を滑らせ、バランスを崩した。「右ひざ前十字靱帯断裂および内側側副靭帯損傷、内側半月板損傷」の重傷だった。

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 突如奪われた野球の時間。手術後、できるだけ早く復帰できるようにと行った治療やトレーニングは過酷を極めた。あまりの痛みに、泣きながらリハビリを受けることもあった。

 復帰までは1年近くかかった。これだけ長い時間、野球から離れるのは初めてだった。もどかしさや不安に襲われることは当然あった。それでも今、「あの期間はすごく大きかった」と感じる。

「将来的に、野球をしていた期間を生かしてどんなことができるかって初めて考えました。ただホームランを打てるようにとか、速い球を投げられるようにとかではなく。そのためにどんな取り組みをして、どう課題を克服して、何を得たのか、みたいなことを細かく考えるようになりました」

 このとき、まだ19歳。足を引きずりながら、会社の経営者や野球以外のアスリートら、様々な人を求め、会いに行った。

 違う競技や環境にいる人たちの考えに触れ、野球の可能性や女子の野球選手としてのあり方を客観視する時間にした。

 それらの行動の根底には、やはり一貫した思いがあった。

「女子選手が野球で稼げる世界を実現させたい」

米女子プロリーグの誕生「これは行くべきだ」

 だから24年末、「アメリカに女子のプロリーグができる」という情報を聞いたとき、直感した。

「これは行くべきだ」と。

 WPBL(Women’s Pro Baseball League)は、アメリカで72年ぶりにできる女子のプロリーグだ。

 ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコに拠点を置く4チームが参加し、26年8月からイリノイ州で約7週間の日程で開催される。

 島野の中で大きかったのは、試合に対しての給料が発生するという点だ。

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