2025年のプロ野球、福岡ソフトバンクホークスは、故障者の続出や連敗といった幾多の苦難を乗り越え、5年ぶり12度目の日本一を勝ち取りました 。あの震えるような感動の軌跡が、映画という形でスクリーンに帰ってきます。

そのタイトルは「映画 HAWKS SP!RIT −273日の記憶−」。単に日本一までの試合を振り返る総集編ではありません。普段見ることができない舞台裏や、ホークス選手たちの素顔にカメラが密着した、試合の勝ち負けだけでは語ることのできない球団制作の本格ドキュメンタリー映画です。製作総指揮を担当したプロデューサー・南出敏伸さんに、映画の見どころを聞きました。

密着273日の真実。カメラが捉えた「プロの日常」

きらびやかなスポットライトが当たるグラウンドの裏側で、選手たちは何を思い、何に苦しんでいたのでしょうか。キャンプインから日本一の瞬間まで、延べ273日間にわたって撮影し続けたカメラは、私たちが知る選手たちの表の姿だけではなく、一人の人間としての剥き出しの姿を記録していました。そこにあったのは、歓喜の裏に隠された、あまりにも泥臭い日常でした。

密着273日の真実。カメラが捉えた「プロの日常」

「無事映画化できるのか…?」12年ぶりの単独最下位からのスタート

2025年、ホークスの物語は誰もが予想だにしなかったどん底からのスタートでした。ケガによる主力選手の相次ぐ離脱もあり、12年ぶりに単独最下位へと転落。5月に入ると徐々に巻き返し、「パーソル パ・リーグ 2025」を連覇。その後、「2025 パーソル クライマックスシリーズ パ」を激闘の末に勝利すると、「SMBC 日本シリーズ 2025」をも制し、5年ぶりの日本一に輝きました。よもやの最下位から大逆転での日本一となった劇的なストーリーは、ファンはもちろんのこと、多くの方に知られています。

このシーズン序盤を振り返り、プロデューサーの南出さんは当時の心境をこう明かします。

南出さん 「4月頃の順位が低迷していた時期は、『無事映画化できるのか…?』と気が気ではありませんでした。毎試合の結果に一喜一憂し、ハラハラな展開の末に日本一になった際には、歓喜というよりはホッとしたというのが正直なところです」

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しかし、このどん底こそが、映画としての深みを生むことにつながったと語ります。

南出さん 「われわれの本拠地である福岡では、ホークス選手たちの露出が元々多いので、ファンの方たちにもよく知られています。目の肥えたファンの皆さんにも満足していただくには、選手たちのプレー姿だけでなく、たゆまぬ努力や葛藤、普段は見られない裏側に触れてもらうことだと思っています。最下位スタートから這い上がるために、チームや選手が貫いた信念や覚悟、数々の決断に迫った、『逆境を乗り越えた生き様を描いた長編ドキュメンタリー作品』に仕上がっていると思います」

「無事映画化できるのか…?」12年ぶりの単独最下位からのスタート

カメラがとらえた選手たちのリアルな素顔

キャンプインから日本一までの延べ273日間、常に選手たちのそばで撮影し続けました。メディアも入れない場所、球場のベンチ奥のチームエリアにまで潜入し、選手たちの普段の様子や何気ない会話、試合中の選手たちのやり取りなど、知られざる姿まで撮影してきました。

南出さん 「273日、常にカメラがそばで回っているって、想像するとすごい状況ですよね。例えば、試合がある日は選手の集合時間より前に球場へ入り、自主的に行っている個人練習から密着をスタート。試合中のベンチやチームエリアの様子はもちろん、試合後に居残り練習をする様子まで記録しています。選手たちは意外とカメラを気にすることなく、自然体な様子でした。次第に選手たちの懐に入っていき、リラックスした雰囲気の中で出てきたちょっとした雑談なども、映画ではたくさん登場しています」

ある意味、選手たちのいちばん近くで見守ってきたのが、映画スタッフと言えるかもしれません。ファンと同じ目線を持ち合わせているからこそ、新鮮に感じるシーンや選手の素顔があったそうです。

カメラがとらえた選手たちのリアルな素顔

南出さん 「ベンチ裏で撮影させてもらっていると、中継では分からない会話がたくさん聞こえてきました。勝手なイメージで、プロ野球ってもっと淡々としてると思っていたんですが、全く違いました。選手どうしが積極的に声を掛け合って、お互いを鼓舞して、打った時には全力で喜んで。そんな姿に純粋に驚かされました」

一方で、勝負の瞬間に切り替わるプロの気迫も鮮明に記録されていると語ります。

南出さん 「回ってくる打席を前に、驚異の集中力を発揮する選手たちのすごさを間近で感じることができるんです」

誰もいない球場に響く打球音から感じた「勝ちにこだわる執念」

さらに、シーズンを通して見えてきたのは「勝ちにこだわる執念」だと語る南出さん。個人の成績が重視されるプロ野球の世界であっても、それ以上に「チームの勝利」にこだわる、プロとしての凄まじい執念を象徴するような、忘れられないシーンがあるそうです。

南出さん 「シーズンを通して、小久保監督と選手たちが同じ方向を向いて、同じベクトルで戦っている姿が印象的でした。勝利にかける選手の姿に迫るシーンのひとつが、ビジターで連敗した試合の後、誰もいない球場で、近藤健介選手が『3連敗だけはダメだ』とつぶやきながら、ひたすらバットを振っていたんです。1試合にかける強い思い、その執念を間近で感じた印象的なシーンでした」

誰もいない球場に響く打球音から感じた「勝ちにこだわる執念」

ファンと感動を共有する。膨大な映像からファンに伝えたいもの

選手たちの表の姿から裏の姿まで、273日間にわたり撮影を続け、膨大な映像素材が集まりました。それを一本の物語へと編み上げる中で、南出さんが最も大切にしたのは、観客席で、あるいはテレビの前で一喜一憂していたファンとの「感動の共有」でした。

南出さん 「例えば、『川瀬晃選手のタイムリーツーベースでサヨナラ勝ちだ! よし!』とか、『近藤健介選手の離脱は厳しいな…』とか、そのときその瞬間にファンの人たちの心に湧き上がる感情があると思うんです。そういう心の動きを、思い出してもらえるようにしたかったんです。それと同時に『選手たちはこれだけの準備を重ねて、こんな思いでやっていたんだな』という気づきです。映画を通じて、それぞれのシーンとそのときのさまざまな感情を共有できるようにしよう、というのがいちばん意識したところですね」

野球に詳しくない方にも、日本一達成の裏側にはさまざまなドラマがあったことを知ってほしい

南出さんが編集の際に意識したのは、ホークスファン、野球ファンだけでなく、より多くの人々の心に届く“人間ドラマ”にすることでした。この映画を通じて、「来シーズンはちょっと野球を見てみようかな」と思ってもらえたらと、ナレーションや主題歌にもこだわりがあると語ります。

落ち着いたトーンでナレーションするのは、女優の与田祐希さん。みずほPayPayドーム福岡に近い志賀島出身で、乃木坂46の卒業コンサートを同ドームで開催した縁があるそうです。

南出さん 「与田さんの声は、観ている人にスッと届くような、耳心地の良い透き通る声が印象的で、テレビなどで見る明るい与田さんとは違う一面を、与田さんのファンの方にも感じてもらえると思います」

ナレーションを担当した与田祐希さん

主題歌を担当したSixTONES

主題歌を担当したSixTONES

そして主題歌は、B.LEAGUE 2024-25 SEASONの公式テーマソングを担当したのも記憶に新しいSixTONES(ストーンズ)。テレビドラマの主題歌にもなった楽曲『GONG』は逆境に立ち向かうファイトソングで、今シーズンのホークスにマッチしていると言います。

南出さん 「エンディングで『GONG』が流れることによって、この瞬間の高揚感をより共感してもらえるのではないでしょうか」

主題歌を担当したSixTONES

主題歌を担当したSixTONES

ホークスファンにはこの映画を観て追体験を

ホークスファンにはこの映画を観て追体験を

共に苦しいシーズンを乗り越えてきたファンの方々には、あの時に感じたすべての感情を “肯定” して、もう一度呼び起こしてほしいと語ります。

南出さん 「いろいろな選手の魅力が詰まっているので、きっと “推し” 選手が見つかると思います。普段球場に足を運ぶ人にとっても、選手たちの熱量を大画面で観る価値がある映画です。ぜひ映画館で、“ホークスの273日”と向き合ってみてください!」

主力の離脱が続いて苦しかった日々、勝利によろこんだ日、「この勝利で空気が変わった」と肌で感じたあの瞬間。きっと映画を観ながら、あの時の記憶がよみがえってくるはずです。

誰かが頑張る姿を見て、自分も頑張ろうと思える。誰が観ても胸が熱くなる映画、ぜひ劇場に観に行きましょう!

(掲載日:2025年12月26日)
文:ソフトバンクニュース編集部

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