今季での現役引退を発表した中日の中田翔。大阪桐蔭時代から注目された大器だったが、当初は投手としての評価も高かった。高校1年時にその怪童の投球を受けたベテラン記者が振り返る。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》
中田翔という名前も、私は知らなかった。今ほど、中学生選手の情報が多くなかった時代、彼ほどのスーパー中学生でも、その名前すら私の耳には届いていなかった。
その日、取材のメイン対象だった辻内崇伸投手のピッチングを捕球するこちらの様子をチラチラ気にしながら、中田翔投手の立ち投げが始まる。
捕球音の一瞬前に、シュッという「通過音」が聞こえる。
まだ、立ち投げの最初なのに、キャッチャーが「ウオッ」と唸っている。
この数カ月後の夏の甲子園で「156キロ」をマークした辻内投手なのだから、この時だって140キロ中盤ぐらい出ていたのだろうが、中田翔投手の立ち投げだって、ぜんぜん負けていない。
捕球音をもろに受け止めていた私の右耳が、それを教えてくれた。
辻内投手のピッチングを受け終わったところで、中田投手から「自分もちょっといいですか?」と小声でリクエストが飛んできた。
「やろうか!」と二つ返事で構えたミットが、立ち投げの初球でいきなりめくられたから驚いた。

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