ソフトバンクが阪神を4勝1敗で打ち破った今年の日本シリーズ。レギュラーシーズンで圧倒的な強さを誇っていた阪神の“誤算”は何だったのか。8月以降、戦列を離れていたデュプランティエを第2戦に起用した藤川球児監督の「秘策」に対して、岡田彰布前監督が漏らした本音とは。シリーズの流れを変えたターニングポイントに迫った。(全2回の1回目/後編へ)※文中敬称略

 10月の最後の日になった31日、大阪市内にある阪神電鉄本社に監督の姿があった。戦い抜いた1年を終え、恒例になっているオーナーへの報告。セ・リーグを制した達成感と、日本一を獲れなかった悔い。それが入り混じった顔つきで、番記者の前に進み出た。

 差し障りのないやり取りがあった時、ついにこんな問いかけが飛んだ。

「日本シリーズの2戦目の先発にデュプランティエを起用した狙いは?」

 今回のシリーズ最大のポイントとされた起用法に関し、藤川球児は初めて口を開いた。「その辺はもうご想像にお任せします。正解が出た場合には何も言われないところなんで」。具体的な理由は明かさないままだった。

 異常な暑さが続いた8月中旬、甲子園からデュプランティエの姿は消えた。体調不良による登録抹消。そこまで6勝。驚異の奪三振率を誇った新外国人投手を欠くことになっても、阪神の進撃が止まることはなかった。9月7日、史上最速の優勝を飾った。その頃にはデュプランティエの存在を、みんな忘れていた。

 それが突然に現れた。日本一をかけたソフトバンクとの日本シリーズ第2戦の予告先発に彼の名が出た。ファンだけでなく、メディアもほとんどが「エッ」となった。実戦マウンドは8月以降ない。2カ月以上、ゲームに投げていない投手に大役を託す。これが藤川の「秘策」だった。

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