<神・中21>8回から登板する工藤(撮影・後藤 正志)
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 3つ目のアウトを空振り三振で奪うと、阪神・工藤は小さく拳を握った。劣勢の中、ルーキーが見せた3者連続三振。打線のゼロ行進に沈んでいた聖地の虎党が、一気に沸き立った。6月4日の日本ハム戦以来となる1軍登板で圧巻の投球。工藤にとって、再出発の一日となった。

 「(歓声は)気持ちいいっすね。決めたい時に、しっかりボールを決め切れた」

 最速161キロの剛腕ぶりは健在だった。1死から4番・細川を迎えた場面。フルカウントからの6、7球目はこの日最速となる159キロを連発した。1球目をファウルとされるも、2球目は内角低めいっぱいに決めて見逃し三振。スコアボードに躍った球速表示に、場内はどよめいた。「ゾーン内でファウルなり、空振りなりを取っていこうと思っていた」。思惑通り、相手4番を手玉に取った。

 2軍で精神面を見直したことが、課題の制球力改善につながった。強靱な筋肉に身を包む一方で、繊細な側面もある右腕。「春先はカウントが悪くなると“どうしよう”となってしまっていた。四球を出しちゃいけないと思いすぎてしまって」。開幕から前回6月5日に出場選手登録を抹消されるまで、13回2/3で実に12四球。百点満点の投球を求めることで自身を苦しめた。

 「自分を許すというか。四球を出しても次で抑えればOKとか。良い方に全部考えられるように」。ポジティブ思考を取り入れたことで、パフォーマンスが向上した。この日は全16球のうち、ボールはわずか5球。細川の場面で粘れたのも、自分の中で割り切りができていたからこそだ。

 チームの中継ぎ右腕は、絶対的な存在の石井を除けば手薄だ。13日の巨人戦では湯浅、ドリスが失点。割って入る余地はある。「次の試合もしっかり、3人で終わりたい」。一試合一試合、ゼロを積み重ね、ポストシーズンまで1軍に生き残る。(松本 航亮)

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