<神・D>初回、見逃し三振に倒れた森下(撮影・大森 寛明)
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 阪神打線はDeNA先発の右腕、石田裕太郎に対し、打者一巡するまで1人の走者も出せなかった。この間、見逃し三振が3個もあった。

 1回裏に近本光司が内角低め直球、森下翔太が追い込まれてから外角高め直球を見逃したが、判定はストライクだった。2回裏には佐藤輝明が外角低め直球を見逃した。

 プロ2年目で対戦の少ない石田裕のフォームにタイミングが合わなかったのか。セットポジションから、走者がいない時は2段モーションを基本に、時にクイック気味に投げてくる。四隅への制球も良かった。

 いや、ここで目をひいたのは、見逃し三振を喫した時の打者の態度だった。近本は少し考えたそぶりをしてすぐにきびすを返した。森下は悔しそうに天を仰いだ。佐藤輝は少しうなずいていた。皆、球審の判定に不満や不服な態度を示すようなことはなかった。

 ちなみにこの試合の球審は嶋田哲也だった。元阪神投手である。ただし、審判員が誰なのかは全く問題ではない。

 リーグ優勝決定時に本紙で掲載となった坂本誠志郎の記事が興味深い。今季ワーストの7連敗を喫した6月17日のロッテ戦(甲子園)の試合後だった。坂本は選手たちを集め、たまったフラストレーションを表に出さないでおこうと話した。「裏で言いたいことを言うのはいい。プレーをしている時にあからさまに出してっていうのはいいことないと思う」

 特に無安打だった森下、4三振の佐藤輝が判定に不満な態度をしているのが気になった。打者が戦う相手は審判員ではない。投手とはもちろんだが、自分との闘いの場でもある。泣こうがわめこうが、打席では誰も助けてはくれない。

 落合博満が中日監督時代を振り返り「第1打席で見逃し三振すると、その後、試合を通じて全く打てない打者がいた。審判への不満が尾を引いてしまうんだな」と話していたのを覚えている。自分との闘いに負けてしまっているのだろう。

 あえて書けば、審判員の判定は最終である。ストライク・ボールの判定に異議を唱えることは許されていない。

 この夜、見逃し三振の後の打席で目を見張った。4回表、近本は左前打で出た。森下は先制、そして決勝の2ランを放ってみせた。=敬称略=
 (編集委員)

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