2013年にプロ1年目で16勝を挙げ最多勝と新人王のダブル獲りを果たした東京ヤクルトスワローズの小川泰弘投手。ドラフト2位から逞しく這い上がり、“大本命”だった巨人・菅野智之投手(現オリオールズ)との新人王レースを制した陰に、どんなドラマがあったのか。「ルーキーイヤー」をテーマにインタビューした。〈全2回の後編/前編も公開中〉

 プロ1年目で新人王と最多勝を受賞した投手には権藤博(中日)、野茂英雄(近鉄)ら錚々たる顔ぶれが並ぶ。2013年、そこに名を連ねたのが小川泰弘。1999年の松坂大輔(西武)、上原浩治(巨人)以来という快挙だった。

 2013年入団のルーキーは、スター選手が揃っていた。パ・リーグでは日本ハム・大谷翔平、セ・リーグでは阪神・藤浪晋太郎と巨人・菅野智之(いずれも所属は当時)。プロの第一歩から注目を浴びていたそれら“大本命”の投手たちと比べて、小川はまさに“大穴”の存在だった。

 当初は中継ぎ候補の一角だったが、猛アピールを続けて先発枠を勝ち取り、初登板から貪欲に白星を重ねていった。スターダムへ駆け上がったこのシーズンの中で、本人が振り返るターニングポイントは「5月」だという。

勝てなくなった小川に、ある大物選手が…

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「パタッと勝てなくなったんですよ。キャンプからずっと全力でやってきて、疲れが出てきたのだと思います」

 トレードマークである「ライアン投法」は左脚を豪快に上げる分、下半身に大きな負担がかかる。対戦が一巡する中で相手チームに研究され、大きなモーションの隙をついて足で揺さぶられる場面が続いた。クイックモーションの修正に試行錯誤する中で、今度は球の精度が落ちてくるなど、負のループにハマりかけた。もがくルーキーに、ある大物選手が声をかけた。この時42歳、中日のベテラン捕手、谷繁元信だった。

「練習の合間だったと思うんですけど、『何してるんだよ。もっと粘れ。頑張れよ』って言ってくださった記憶があります。相手のキャッチャーだから、僕に疲れが出ているのは分かっているじゃないですか。その大先輩に声をかけていただいたのはビックリしたし、嬉しかったですね」

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