
【この7月に支配下になれなかった選手たち】目指すのは契約じゃない 支配下登録の真理
8月1日。それはプロ野球の多くの育成選手たちにとって、ズシッと来る日。7月31日が支配下登録の期限で、それを逃すとシーズン中の〝昇格〟はありません。西武でも23人が育成選手のまま緊張の秋を迎えることに。契約更新の保証はありません。何を思うのでしょうか。背番号3ケタのままの選手たちに、胸の内を尋ねました。
プロ野球2025.08.19 06:00
■もう1回盛り返す時が…是沢涼輔
是沢涼輔捕手(25)と話す時、いつも彼は笑っている。見習わなければいけないなと常々思う。
8月9日の試合後も笑っていた。無理しなくてもいいのに。マジメな人柄だ。笑わないと、くじけてしまうのかもしれない。
「最後…最後、そうっすね。最後の最後に、バッティングをあきらめちゃった自分がいたのかもしれないです。最初からバッティングって、ずっと言ってたのに」
守備の評価が高いのは、直接言われてもいた。
是沢は「逆にそれじゃダメだ」と思ってしまったという。「焦る気持ちも出てきて、だんだん打率も落ちてきて、最後の最後に自分を信じ切れなかった部分がありました」。
全て内野安打ではあったものの、巨人田中将から3安打を打った。「たまたまです」と謙遜していたが、2軍イースタン・リーグでの打率は一時期、3割に乗った。

3月9日、試合前練習する
でも7月末には2割を割ってしまった。それが悔しかった。
「育成選手が支配下になる時って(記事の)字面はやっぱり打撃成績になるじゃないですか。それが1割8分とかじゃやっぱり…ですよね」
強肩、フレーミングをはじめディフェンスの評価は高い。今回の7月末の昇格争いにも、間違いなく是沢は食い込んでいた。
ただ、チームに負けが込み始めたとはいえ、まだAクラス入りを狙える位置にいる。最後の2枠は二遊間を守る佐藤太と、中継ぎ左腕の浜屋が優先された。
「1軍即戦力」という観点では、是沢の順列はまだ低かったということだ。

3月11日、オープン戦で菅井信也(左)と引き揚げる
室内練習場に近接する寮に暮らして3年目。誰よりも必死に練習してきた。でも7月の終わりに願いはかなわなかった。
「野球と向き合う時間、今ちょっと減っちゃってるかもしれないですね。ベッドでぼーっとしちゃうんです。中学、高校、大学って野球は各カテゴリーで終わる時があるじゃないですか。いつも『次、やってやるぞ』って感じになってたんですけど。でも自分、ちょっと『あ~』って自分で落ちてる部分があるので」
目の前の是沢は笑っている。心からじゃないのが、分かりやすいほどによく分かる。無理してる。
本文残り63% (2183文字/3468文字)

1980年11月、神奈川県座間市出身。法大卒、2003年入社。
震災後の2012年に「自転車日本一周」企画に挑戦し、結局は東日本一周でゴール。ごく局地的ながら経済効果をもたらした。
2019年にアマ野球担当記者として大船渡・佐々木朗希投手を総移動距離2.5万キロにわたり密着。ご縁あってか2020年から千葉ロッテ担当に。2023年から埼玉西武担当。
日本の全ての景色を目にするのが夢。22年9月時点で全国市区町村到達率97.2%、ならびに同2度以上到達率48.2%で、たまに「るるぶ金子」と呼ばれたりも。

NPBHUB.COM | The Fanbase of Nippon Baseball & Nippon Professional Baseball