◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
気温30度を超えた8日のG球場。室内練習場の打席に入った山瀬慎之助捕手(24)が「甲斐さん打法でいきますよ!!」と笑顔で振り向いた。師匠を思わせる低重心のフォームから鋭い打球を連発。表情が精かんさを増したのは、日焼けだけが理由ではない。
昨季イースタン・リーグで打率2割1分9厘と課題だった打撃は「謙次さんが感覚を大きく変えてくれた」と、矢野2軍打撃チーフコーチの教えでモデルチェンジ。「遠くに飛ばす」から「ヒットゾーンへ飛ばす」へと意識改革し、今季は打率3割を超える飛躍的な成長を見せている。二塁送球タイムで1秒8を切る球界トップ級の強肩を備えた守備力に新しい武器が加わった。しかし、12球団屈指の捕手陣に阻まれ、チャンスがなかなか巡ってこないのが現状だ。
胸に刻むのは「人事を尽くして天命を待つ」。自主トレで弟子入りする甲斐から授かった言葉だ。師匠は育成選手からはい上がり、7年目に1軍定着。日本一の捕手となっても時には12時間超の練習に励む姿を間近で見てきた。「あんな選手になりたい、だと負けてしまうんですけど、ああいう人間になりたいなと心の中で思ってます」という24歳も練習量はチーム随一だ。
同僚となった今季は「ライバルなので」と、あえて連絡は取っていない。1軍捕手陣のプレーをテレビで見守り「自分の方が上手い。そう思えないとダメだと思っているので」。師匠の魂を継承し、その背中を超えようとする若武者。グレーの練習着が汗で変色してもなおバットを振る姿に、巨人の未来を見た気がした。(巨人担当・内田 拓希)
◆内田 拓希(うちだ・ひろき) 2020年入社。日本ハムなどを経て24年に巨人野手担当。

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