2025年、阪神タイガースはセ・リーグ首位を快調に走っている。しかしさかのぼること30~40年前は「暗黒時代」の真っただ中にいた。1970年代に電撃トレードで阪神に入団した“エモやん”こと江本孟紀氏が明かす当時のウラ話を『阪神タイガースぶっちゃけ話 岡田阪神激闘篇』(清談社Publico)から一部転載でご紹介します。〈全9回。第1回からつづく〉

「バースの再来」が100%外れる原因とは

 阪神の外国人選手、とりわけ左打者を獲得した際によくいわれるたとえとして、「バースの再来」というものがある。

 シーズンが終わり、オフの11~12月になって獲得した左打者の外国人選手は、「バースのような活躍ができるのではないか」という期待を抱かせることが多い。そして、2月の春季キャンプ初日からパカパカ気持ちよさそうに打って、フェンスオーバーの打球を連発しようものなら、「バースの再来」といわれるようになるのである。

 これは新聞を売りたいがための、あるいは視聴率を上げたいがための、マスコミの戦略のひとつだと考えられたらいいが、多くの、というより、ほぼ全員といっていい阪神ファンは真に受けている。

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「バースの再来なら、今年は期待できそうやな!」

「今年はクリーンアップでバカスカ打って、優勝間違いなしや!」

 などと気勢を上げるものの、いざシーズンに入るとクルックルッとバットが空を切り、あるいは凡打の山を築いて打率、本塁打、打点のいずれもが低空飛行のままでいる。「いつになったら調子が上がってくるんだ」と思ったころにはシーズン中盤が過ぎ、どうやら期待外れに終わるんじゃないか。そんな失望感が現実となる――という具合だ。

バース、バースと言い続けるのは情けない

 外国人選手の左打者を獲得するたびに「バースの再来」と呼ぶのはもうそろそろやめにすべきじゃないかと思っている。それをいわれた外国人選手にプレッシャーがかかるからという理由ではない。

 そもそもバースのことを生で見た外国人選手は存在しないだろうし、「オレはオレだ」という気概を持って、はるか遠くの日本まではるばるプレーしにきてくれている外国人選手に失礼すぎるからだ。

 それに、いつまでもバース、バースと呪文のように言い続けているのは、なんだか昔おつきあいしていて別れた彼女のことを未練がましく思い浮かべているようで、そんなものは情けないと思えるようにならなければならない。

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