今年度、30歳を迎えた大谷翔平世代、いわゆる1994年度生まれの代。かつて世代の先頭を走っていた男こそ、藤浪晋太郎(マリナーズ)である。米・アリゾナの地で藤浪本人が明かした「メジャー挑戦を決めた日」。【NumberWebノンフィクション/全6回の5回目/6回目へ】

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<新型コロナが大流行した2020年、藤浪は中継ぎとして、復活の兆しを見せ始めていた。メジャー挑戦の希望を球団に伝えたのは、その年のオフのことだった。>

相談した武豊の“金言”

「いきなり言って、すぐに行かせてもらえるわけではないので。野茂(英雄)さんや、(武)豊さんに、そういう話をしてもらったことがあって、人生の中で、そういうタイミングだったんだと思います。豊さんもアメリカとかフランスに行ったことがあるので行けるチャンスがあるなら、のちのち得るものも大きいから、絶対にチャレンジした方がいいって言ってくれていたので」

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 競馬好きな藤浪は武豊と親交が深かった。武と酒を飲みながら食事をしているとき、藤浪は「豊さんって大変じゃないですか」と聞いたことがあるそうだ。つまり、武豊という人生を生きることについてストレートに質問したわけだ。

「そうしたら『俺は思ったことないね』と。なんでですか? って聞いたら『俺は武豊だと思ってるから』って。そうやって、自分はスペシャルなんだと思うと、ある程度のことは許せるんだというようなことを言っていて。すげえと思って」

 俺は藤浪だから——。藤浪もそう思うことがあるのだという。

「いや、俺やからぐらいの感じで、あえて、そう思うようにしてます」

メジャーで高評価…「単年4億3900万円」

 翌2021年オフの交渉の席でも藤浪は球団にアメリカ行きの意志に変わりがないことを伝えた。すると球団も柔軟な対応を見せ、あと1年プレーしたらポスティングシステムにかけると約束してくれた。

 2022年はシーズン後半、491日ぶりに先発で白星を挙げるなど、先発としても安定した投球を見せた。その年のオフ、阪神は約束通り、藤浪に対してポスティングシステムによる海外移籍を容認する。

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