つば九郎
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 プロ野球球団を保有する企業の株主総会は、得てしてグループの本業よりもプロ野球事業の方が話題を集めがちだ。好調なチームよりも低迷するチームほどその傾向は顕著で、ヤクルトもしかりだ。

 6月25日に都内で開かれたヤクルト本社の株主総会。経営陣と株主による質疑応答は全11問のうち9問がスワローズに関する内容だった。2つ目の質問では男性株主から、担当者が2月に急逝してから活動を休止しいる球団マスコット「つば九郎」に関する質問と要望が飛んだ。

 「愛すべき“つば九郎”を何らかの形で戻してあげてほしい」

 ファンの切実な声に、林田哲哉球団社長は「皆さんの意見を受け止めて、もう少し検討を重ねて再登場させたい。期待していただければ」と約束した。現時点で来季からの活動再開を見込んでいるそうだが、球団の垣根を越えて幅広い世代から絶大な人気を誇る“球団の顔”の復活に向けた道筋が初めて示されたとあって大きな反響を呼んだ。

 つば九郎が不在の25年シーズンは、本拠地の神宮球場での演出が昨年までと大きく様変わりした。スタメン発表前の「フリップ芸」やグラウンド整備中のパフォーマンス「空中くるりんぱ」はなくなり、つば九郎の妹「つばみ」や公式チア「パッション」のメンバーによる演出で球場を盛り上げている。

 フリップ芸でつば九郎のネタを読み上げていた“相棒”のスタジアムDJのパトリック・ユウさんは公になった活動再開の方針をどう受け止めてるのだろうか。

 「今シーズンはぽっかり穴が開いた状態でスタートした。“もしここにつば九郎がいたら”と考えることもありますけど。率直に、ぜひ復活してほしいという思いですね」

 “初代”も30年以上、紆余(うよ)曲折があって唯一無二のキャラクターを確立していった。“2代目”も個性が確立されるまでにはそれなりの時間が必要になる。現時点で担当者の人選など詳細は決まっていないが、林田社長は「(亡くなった)担当スタッフは戻ってこないので。(新たに)活動する担当者の能力や技術もあるので、最初から非常に高いハードルを設けるのではなくて、その方も(成長しながら)進んでいく。何年も時間をかけないとだめだと思っている。作戦を練ります」と強調した。

 復活を待ち望むパトリックさんも「いきなり完成形を求めるのではなくて、伝統芸能の襲名じゃないけど、良い意味で比べられる存在になってほしい。ファンの皆さんが“2代目はこういうところがいいぞ”となれば」と期待する。みんなが温かい目で見守っていくことでオンリーワンの個性を持ったマスコットに成長していく。その課程を楽しむことができる、という捉え方もできるのはないだろうか。(記者コラム・重光 晋太郎) 

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